エリック・シュローディー、元カトリック教徒、米国(1/2)

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説明: 元ラップスター、エヴァーラストがいかにしてイスラームと出会ったかについてのインタビュー。第一部。

  • より アディサ・バンジャコ(インタビュアー)
  • 掲載日時 28 Feb 2011
  • 編集日時 28 Feb 2011
  • プリント数: 199
  • 観覧数: 17,175
  • 評価: 3.4 から 5
  • 評価者: 130
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ラップ・ミュージックは、イスラームという宗教の多大な影響を受けてきました。ニューヨークのグループ、パブリック・エナミーによるネーション・オブ・イスラームへの敬意を込めたラップや、A Tribe Called QuestのQティップによる正統イスラームへの改宗など、この宗教は歌詞や生活スタイルにおいて、ラップ・ミュージックに強い影響を与えてきました。そして音楽界でエヴァーラストとしてよく知られているエリック・シュローディーもまた、最近イスラームに心を動かされたというアーティストの一人なのです。

ラップ・アーティストとして音楽界のキャリアを築き上げたエヴァーラストですが、ここ最近ではアーティストとしての多様性と深さに磨きをかけています。彼の最新作「Whitey Ford Sings the Blues 」(現在はビルボード・ランキングの49位ですが、一時は9位にランクされていました)にはそれがよく反映されており、哲学的な面や、彼の人生に与えたイスラームの影響も随所に見られます。

以下ではエヴァーラストによるイスラーム発見の旅と、彼が新改宗ムスリムとして直面する困難を、インタビュー形式でお伝えします。

AB(アディサ):あなたが最初にイスラームを知ったきっかけについて教えてください。

E:たしかあれは80年代の後半だったかな。俺はディヴァイン・スタイラー(ロサンゼルスの人気ラッパー)とたむろしていたんだが、あいつは5%(イスラームの名を語るカルト、「ネーション・オブ・ゴッズ・アンド・アース」のこと)の末期の頃で、真のイスラームに目覚めつつあった。あいつはバシール・ファミリーと一緒に住んでいたんだが、アブドッラー・バシールはディヴァインの師匠的存在で、結局俺もそうなった。ディヴァインの5%からイスラームへの転換期、俺はあいつとよく一緒にいたから、色んなことを聞いていたんだ。

俺が初めてイスラームを知ることになった場面を思い起こそうとしてるんだが・・・。たしかあれはデヴァインの友人がシャハーダ(ムスリムの信仰宣言)をした時、俺がたまたま居合わせたのがそうだったんじゃないだろうか。俺はあいつが「私はアッラー以外に真の神はなく、ムハンマドはかれのしもべであり、使徒であることを証言する。」と言ったのを聞いて、「何なんだ、これは?俺は白人だぞ。ここに居てもいいのか?」と思ったんだ。もちろん、それは無知からだったんだ。というのも、アメリカでイスラームは黒人のものだと思われているからな。すると誰かがこう指摘したんだ。「お前は世界にどのくらいの白人ムスリムがいるか知らないな。」俺はこう言ったよ。「マジかよ。」そした誰かがまた、俺に説明してくれた。「スゲーな。全然知らなかったよ。」

AB:あなたは米国に住む白人ムスリムとして、何か特別なプレッシャーのようなものを感じていますか?

E:俺はそんなに大げさなこととしては考えていないよ。俺にとってイスラームはもう定着したものなんだ。アッラーは全世界、全人類、アーラミーン(全宇宙)の神であり、イスラームは俺と神との個人的な関係だからさ。だから俺自身の信仰の問題に関しては、誰も俺にとやかく言うことなんて出来ない。俺が礼拝しているモスクに関して言うなら、そこ以上に落ち着ける場所、歓迎される場所はないね。いや、そこだけじゃなく、国内の複数のモスクでも、俺は一度も嫌な思いをさせられたことはない。たとえばニューヨークなんかのモスクだと、とても大勢の人が来るから、俺に気づく人もいないしね。中国人、韓国人、スペイン人なども来るし、俺は地元のモスクで唯一の白人男性だけど、それはとても良いことだと思っている。

最初のうちは、ジュムア礼拝(金曜合同礼拝)に行く度に、他の誰よりも考え込んでいたんだ。初めてジュムアに行った時は、友人と一緒だった。そこはブルックリンのベッド・スタイ(ベッドフォード・スタイヴェサント)で、俺はモスクではなく、その界隈の安全性を心配していた程だったんだよ。でも一旦そこに入ると、本当に落ち着けたんだ。素晴らしいと思ったね。モスクにいた人々も、全く赤の他人とは思えないほどだったよ。

AB:イスラームへの改宗に際して、あなたの家族はどのような反応を見せたのでしょうか?あなたはカトリック教徒として育ったんですよね?

E:俺の母さんは偏見に囚われない、革新的な人なんだ。俺は彼女と暮らしている。俺は神を信仰するのではなく、神が存在するということを知らされて育てられた。俺はこの世界のことを知るなら、まず神が存在することを知るよう、教えられてきたんだ。母さんはカトリック教徒だけど、教会の偽善を真っ先に指摘するような人で、長いこと教会に足を運んでいない。だけど神を見出した俺のことに関しては、喜んでくれているよ。

彼女は俺が礼拝するのを目にしているし、ディヴァインのこともとても気に入ってくれている。彼女は俺たちが子供だったときと比べて豹変したことをよく知っているよ。俺とディヴァインが最初に知り合ったのは、まだガキの頃だった。俺たちはパーティーや喧嘩に明け暮れていたね。俺たちはこういうのを一人前の大人になることだって思ってた。ただのチンピラだったんだよね。

母さんは、俺とあいつがどんなに変わったか実際に目にしてきた。そしてその変化によって俺が達成したことから、どれだけ心のやすらぎを得られるようになったかに関してもそうさ。実際この前も、母さんとは宗教に関して長い時間話し合ったよ。生命や死、そして彼女がやがて死んでしまう未来に関してもね。インシャーアッラー(神がお望みであれば)、それはそう遠くない未来だ。俺は彼女にひとつのお願いをしたよ。俺はこう言った:「母さん、もし母さんが死んでしまったとき、天使たちが母さんに質問すると思うんだ。俺はまだ死んでないからその質問がどういうものかははっきりとは分からないけど、しっかりその質問に答えて欲しい。神さまは唯一の存在で、決して人間なんかにはならなかったことを忘れないでいて欲しいんだ。」

彼女はこう言った:「あんたが言いたいことは分かってるよ。」それで俺はこう返した:「ジーザスは神さまじゃなかったんだよ。」

俺が習得してきた知識は少しずつだが、確実に母さんにも影響を及ぼしている。彼女はムスリムじゃないが、神が唯一であることを知ってる。俺はそのことがとても嬉しいんだ。イスラームに改宗した知人たちが、家族から突き放されてしまうケースをたくさん知っているからね。

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エリック・シュローディー、元カトリック教徒、米国(2/2)

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説明: 元ラップスター、エヴァーラストがいかにしてイスラームと出会ったかについてのインタビュー。第二部。

  • より アディサ・バンジャコ(インタビュアー)
  • 掲載日時 07 Mar 2011
  • 編集日時 07 Mar 2011
  • プリント数: 191
  • 観覧数: 16,858
  • 評価: 3.4 から 5
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AB:私の家族はそのように試みました。そんなことは理解出来ないことですよね。私は改名して8年経ちましたが、彼らは未だに私を元の名前で呼びます。そして「ああ、ムスリムに改宗したんだったね。」と言うんです。それと豚関係の冗談も言ってきますね。それらは止むことがありません。

E:人というのは理解の出来ないことに対して笑うものだからね。または未知のものを怖れたりもする。でもイスラームを理解出来ないふりをすることは誰にも出来ない。なぜなら俺は人生の中で、これ以上にシンプルなものに出くわしたことがないからね。

俺はある時、腰をおろしてこう聞いた記憶があるよ。「じゃあ、ムスリムは何を信じているんだ?」そして俺はその一覧を示された。俺は言ったよ。「キリスト教とユダヤ教の間に障壁を立てないのかい?」彼らは言った。「いいや、同じ仲間だよ。」

クルアーン、バイブル、そして旧約聖書であるトーラーを読む段階にまでたどり着けば、クルアーンがそれら(バイブル、トーラー)の真実を確証し、間違いを正すものであることが分かるはずだよ。多分こう思うんじゃないかな?「彼らが世界の異なる地域にいながらにして、こんなことが起こり得るだろうか?」でも、それらはすべてお互いの物語を確証しているんだよ。

今、カレン・アームストロングによる「ムハンマド:預言者の人生」という本を呼んでいる。非ムスリムによる著作だ。今のところ4分の1程を読み終えたけど、そこでは序説から、いかにムハンマドが剣によってイスラームを広めただけの、この世で最も邪悪な人物として描かれ続けてきたかが述べられている。でも実際にはムハンマドは、やむを得ない状況においてのみ戦ったことが記されているんだ。ムハンマドが戦ったのは、イスラームを守るためだけだった。この本はとても良い本だよ。彼は単に人間で、ムスリムとして地上を歩いた最も模範的な人物であったことが述べられている。彼が最後の預言者であることも俺はこの本から学んだ。

白人としての立場から言うが、ファラカーンによる主張に怯えることを通り超え、イスラームがテロリストの宗教であるという無知を克服したのなら、イスラームはそれらとは全く関係のないものだと分かるはずだ。やつらはイスラームの名を借りただけの、全く無関係なものだ。これに議論の余地はない。

俺がジーザスのことをキリスト教徒に説明しても、彼らは俺と議論することは出来ない。いや議論ではなく、ただ「ジーザスは神なんかじゃない!」と言ってるだけだが。しかし実際、彼が人間だということを理解するのはそんなに難しいことなんかじゃないはずだ。もしも俺がキリスト教徒で、神が俺にこう尋ねたとしよう。「おい、なんでお前はジーザスとそっくりじゃないんだ?」俺はこう答えるはずだ。「俺がジーザスとそっくりじゃないのは、あなたが彼の半分を神にしたからで、俺が単なる人間だからでしょう。」もちろんこういうことは全く成立しないだろう。

神は俺達が苦難の人生を送ることを望んでなんかはいない。神は、可能な限り物事が容易なことを望まれている。だから神は、物事を出来るだけ簡単にしてくれる。真摯に懇願すれば、神はそうしてくれるんだ。ひょっとすると、つまづき、よろめくようなちょっとした石が道の上に置かれることはあるかもしれないが、やがて道は開かれるんだ。

AB:あなたによる最初のシャハーダ(信仰宣言)と、二回目のシャハーダについて聞かせてください。

E:最初の時は、ワーリス・ディーン・ムハンマド(ネーション・オブ・イスラームの創始者であるイライジャ・ムハンマドの息子で、ネーションの大半を正統派イスラームへと導いた人物)のテープを聞いた直後だった。あのテープによって、ジーザスの神格性に関しての疑いが晴れたんだよ。彼はムスリムたちがジーザスの人間性を明確にさせたことで、キリスト教徒に対して大きな借りを作ったと言ったんだ。なぜ神が半分神の人物を創り、俺達と比べるんだ・・ってね。それは俺の頭のなかに仕掛けられた爆弾だったよ。だからシャハーダしたんだ。でもその「ハイ」の状態はやがて薄らいでしまったんだ。

それは例えるなら「ジーザスを受け入れよ」と主張するキリスト教徒が「私はどんなことをしても救済されるのです。」と言うようなものだ。なぜなら俺はそんなメンタリティの中で育ってきたからだ。「よし、俺は真理を受け入れるから罪を犯しまくっても救済されるんだ。」と平気で言うような感じだな。

しかしその当時はまだ自分自身をムスリムだとは主張していなかった。ただ自分が信じたい部分だけを抽出していただけだった。しかしどちらか決意しなければならない時が来たんだ。俺は感情的にも精神的にも満足することが出来なくなってきていた。俺の口座には金があったし、一千万円の車やたくさんの女たちを囲っていた。欲しいものは何もかも持っていたんだ。でも「なぜ俺は幸せじゃないんだ?」って思うようになった。別の声が俺に語り始めたんだ。それは(悪魔の)囁きではなく、俺の善意の声だった。「お前が不満なのは、荒れ果てた生活を改善しようとしないからだ。」

俺は強情だったから、その声に耳を傾けようとはしなかったし、「俺ひとりで何とかしてみせる」なんて思ってたんだ。

俺はようやくディヴァインとアブドッラーに話す気になった。「どんな気分だ?それは何だと思う?」とやつらは言った。それで結局、俺は二度目のシャハーダをする気になったんだ。その時以来、俺は最善を尽くすよう決心した。礼拝をきちんと定刻通りに行い、飲み過ぎて自分自身を傷めつけるのでなく、罪深い行いをひとつずつ止めていくことの出来る強さを与えてくれるよう、祈りだしたんだ。俺はまだこの部分に手こずってはいるがね。

一旦大きな壁を乗り越えれば、あとは希薄になってくる。それは誰かの顔を見て、直接は悪口を言わないが、頭の中で陰口を叩くようなものなんだ。こう言うべきではないかもしれないが、より簡単なのは、大きなものを認識することなんだ。認識の難しい、精神的な事柄が自分自身の発見につながる。自分自身が誰なのかという真実に向き合うことが出来ないのなら、いずれは崩壊しちゃうんだよ。

人は「あなたはムスリムですか?」と質問する。それで俺は「ああ、俺はムスリムだけど、プロの罪人だよ。」と答える。俺はこんな状況から抜け出したいよ。早く引退したい。俺はおまえよりも優れた人間だなんて言わないよ。俺はただ真実を示されたと信じていて、それが俺を救ってくれることを望んでいるだけなんだ。

アディサ・バンジョコは、サンフランシスコ・ベイエリア在住のフリーランス記者です。

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