ジンの世界(後半)
説明: ジンによるオカルト現象、そしてそれらからいかに守られるべきかについて。
- より missionislam.com
- 掲載日時 27 Oct 2014
- 編集日時 27 Oct 2014
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ジンによるオカルト現象
彼らは浮遊することができ、人の目にも見えないことから、オカルト現象発生の主要な原因です。ブードゥー、黒魔術、ポルターガイスト、魔力、霊媒などはすべて、ジンの世界を知ることによって説明がつきます。魔術師による奇術や幻影も同様です。ジンは一瞬にして空間を移動することができるため、魔術師にとって彼らの存在は貴重なものです。彼らの魔術を手助けするのと引き換えに、ジンたちは彼らがジンやサタンを崇拝するよう求めます。それゆえ魔術師たちはジンやサタンを神として崇拝します。現在、私たちが目にする魔術師やエンターテイナーによるパフォーマンスはジンの助力によるものです。自由の女神を消したり、グランドキャニオンを飛び回ったり、バミューダ・トライアングルから船の残骸を引き揚げたりといった奇術はみな、ユダヤ人の魔術師デビッド・カッパーフィールドにより、大衆の目前で実際に行われています。人間がそれらの技をジンの助けなしで行うことは不可能です。もしデビッド・カッパーフィールドがサタンに魂を売ったのだとしても、驚きには値しないことです。
ジンが最も頻繁に手助けをする活動のひとつに、占いがあります。預言者ムハンマドの到来前、占い師や予言者の存在は一般的でした。それらの者たちは、ジンの知識を頼りに未来について語っていました。ジンたちは諸天の最下層へ行き、神から得た未来についての情報を語り合う天使たちの会話に耳を澄ませます。ジンはそれを占い師に知らせます。このため、預言者の時代以前は占い師たちの占いは非常に正確だったのです。しかし、預言者の到来と共に諸天は天使たちによって堅く守衛されるようになり、聞き耳を立てようとするジンは流星によって撃墜されるようになりました。
“また、呪われた凡てのサタンからもそれら(諸天)を守る。だが盗み聞きする者は別で、かれは紛いのない炎(流星)に追いかけられる。”(クルアーン15:17−18)
また預言者はこのようにも述べています。“かれら(ジン)は魔術師や占い師の口に届くまで情報を伝達してくるが、時には彼らがそうすることのできる前に流星が彼らを撃ち落とすのだ。もしも彼らが撃墜される前に情報を伝達できたなら、彼らはそこに100もの嘘を付け加えるであろう。”(サヒーフ・ブハーリー)ここからも明白なように、いかに占い師がその占いを時に的中させるかが分かります。また、彼らがその大半を失敗させることも同様です。未来についての予言の一部を的中させたものの、その大半は完全に間違っていたノストラダムスのような人物がその良い例です。残念ながら、ムスリムたちの間にも占いをする人々が増加しつつあります。モロッコなどのムスリム国家を訪れると、夜間に目にすることのできる流星の多さから、ジンの関わっている占いの多さを物語ります。それは諸天からサタンたちが追い払われている明白な証拠なのです。
占い師はカリーンを通しても活動します。カリーンとは人間一人ひとりに割り当てられているジンです。このジンは、私たちの欲望に常に働きかけ善行から遠ざけようとします。預言者はこのように述べています。“あなたがたには一人ずつ、ジンが割り当てられているのだ。” 教友たちはこう尋ねました。“あなたでさえ割り当てられているのですか?” 預言者は答えました。“私にさえ割り当てられている。ただし神はそれから私をお助けになっており、それはムスリムになったのだ。それは私に善行のみを促している。”(サヒーフ・ムスリム)カリーンは割り当てられた人間の生涯を通して付き添うため、揺りかごから墓地までその人物に何が起こったかを知り尽くしています。カリーンと交信することにより、占い師は知りたい人物について尋ねます。占い師は水晶や手相を見つつ、その人物について誰も知らないことをもっともらしく告げ知らせます。預言者は占い師を訪れることの重大性についてこう述べています。“占い師に接触し、何かを尋ねる者の礼拝は、40日間の昼夜に渡って受け入れられなくなるのだ。”(サヒーフ・ムスリム)また彼はこのようにも述べています。“誰であっても占い師に接触してその発言を信じた者は、ムハンマドに啓示されたものを信じなくなった者なのだ。”
ジンの影響は占い師に限定されたものではありません。故人との交信に使われるウィジャボード、降霊会などはジンによって巧みに操作されたものです。愛する人との交信を望む遺族は、不安げにこう言います。「◯◯なの? 私たちに話しかけて、◯◯!」そしてジンが◯◯として話しだすと、人々は完全に欺かれてしまうのです。
ジンによる巧妙な操作の中でも、最も一般的なものは視覚に訴えかけるものです。それによってジンは、神への崇拝とは別のことに人々を逸します。人は自らの両目で何かを見てしまうと、それを否定することが極めて困難になります。ジンの世界についての知識、そして神への確固とした信仰を持つことのみによって、そうした試練に打ち勝つことができます。サタンたちにとって、過去数百年に渡りイエス・キリストや処女マリアの幻影を出すことは非常に人気のある選択肢のようです。それらの幻影だけでなく、ジンはキリスト教徒たちに憑依し、彼らの声で語りかけたりもします。キリスト教徒にとっては、この現象は「天使の舌」と呼ばれ、彼らの信仰を証明するものでもあります。しかし、判別不能な発言や戯言は、それらが実際には「サタンの舌」であることの明白な証拠なのです。また、他にも両親や親族の幻影も一般的に見られます。人々の両親の姿になることによって、ジンたちは故人の霊魂が依然として人々と交信することができると思い込ませます。このため、非常に多くの人々は幽霊の存在を信じているのです。
サタンによる幻影は、ムスリムたちにも多大なる影響を及ぼしています。多くのムスリムは預言者ムハンマドのみならず、神の幻影さえも目撃したと主張しています。そうすることにより、サタンは信仰心の弱いムスリムたちを惑わそうとします。そうした幻影を見たことにより、ムスリムたちはイスラームの命じることは彼らには当てはまらないのだと思い込まされます。ジンたちは彼らに、礼拝・断食・巡礼などは義務ではないと囁きかけます。それは重大な欺瞞であり、残念ながらとても効果を発揮しています。こうしたサタンによる幻影は現在進行形で続いています。ウェールズのダイアナ妃が交通事故死した際、英国の人々は彼女への熱愛と礼賛から、彼女を神格視した程でした。ダイアナ妃への追悼の念がピークに達した際、ハンプトン・コート宮殿では彼女の幻影が目撃されたとされています。本当にそうした幻影があったのであれば、サタンとその一味が例の事件を利用しようとしたことは明らかでしょう。そのような幻影は、人類を神の道から逸らせようとするサタンの策略なのです。
ジンからの庇護
私たちにはジンは見えないものの、かれらからは私たちが見えるため、預言者ムハンマドはかれらによる危害からの庇護の方法を多く伝えています。たとえばアッラー(神)による呪われしサタンからの庇護の祈り、聖クルアーンの第113、114章の朗誦、またクルアーンの中で神が教えた言葉を唱えることなどがあります。“そして(祈って)言いなさい。「主よ、悪魔たちの囁きに対し、あなたの加護を願います。主よ、かれらがわたしに近付かないよう、あなたの加護を願います。」”(クルアーン23:97−98)
家に入る前、飲食の前、性行為の前にビスミッラー(アッラーの御名において)と唱えることは、サタンがその人物の家に入ったり、飲食物や性行為の最中に介入してこないようにします。同様に、預言者が述べたようにトイレに入る前や衣服を脱ぐ前にアッラーの御名に言及することは、ジンによって恥部を見られることや危害を加えられることを防ぎます。一般的な信仰強さや宗教の熱心さも、ジンによる危害を防ぎます。
預言者ムハンマドの教友の一人、アブー・フライラと悪魔の逸話1から分かるように、アル=クルスィー節をアラビア語で朗誦することも、ジンからの強い庇護となります。
また預言者ムハンマドはこのようにも述べています。“あなたがたの家を墓地のようにしてはならない。サタンはアル=バカラ章(第2章)が朗誦される家から逃げ去るのである”(サヒーフ・ムスリム収録の伝承)
それらのアラビア語の章句、そして預言者ムハンマドにまつわる伝承は、いかにムスリムがジンに対する神のご加護を得るべきかについて教えます。イスラームはジンだけでなく、神によるすべての被造物との関わりについて説きます。イスラームはサタンやジンについての情報を私たちに与えており、それらによる危害からの庇護をいかに得るかについて説いているため、真のムスリムはサタンやジンを恐れるべきではありません。
ジンの世界は不吉であり、魅力的でもあります。その世界について知ることにより、私たちを困らせる多くの謎や問題を説明することができます。そうすることで、私たちは神以外を崇拝するという人々が取った極端な行為を避けることができます。一神教について学ぶことによって、私たちはサタンの隠された一味から自分たちを守ることができるのです。
“かれ(悪魔)とかれの一味は、あなたがたの見えない所からあなたがたを見ている。”(クルアーン7:27)
脚注:
1 アブー・フライラはこのように述べています。“預言者ムハンマドは、私にラマダーン月の間に集められた義務の喜捨の見張り役を任されました。ある人物が来てそこから食料の一部を持ち出し始めました。私は彼を捕まえて言いました。「私はあなたを神の預言者のもとへと連れていかなければならない。」彼はこう言いました。「私は大きな家族を抱えた困窮者であり、必要に迫れられているのです。」それゆえ私は彼を見逃しました。 翌朝に預言者に会うと、彼はこう言いました。「アブー・フライラよ。あなたが捕らえた者は昨夜何をしたのだ?」私は言いました。「神の預言者よ。彼は大きな家族の切迫した困窮について訴え、私は彼に哀れみを感じたため見逃してやりました。」預言者は言いました。「彼はあなたに嘘をついたのである。彼はまた戻ってくるであろう。」私は彼が戻ってくるという預言者の言葉について確信していました。私は彼を待ち伏せました。彼は再び忍び込み、喜捨の中から食料を盗み始めました。私は彼を捕らえて言いました。「私はあなたを預言者のもとへと連れていかなければならない。」彼は言いました。「放してください。私は困窮者なのです。私は大きな家族の出費に耐えなければなりません。もう戻ってはきませんから。」それゆえ私は哀れみを感じ、彼を見逃しました。明け方に預言者のもとを訪れると、彼はこう言いました。「アブー・フライラよ。あなたが捕らえた者は昨夜何をしたのだ?」私は言いました。「神の預言者よ。彼は大きな家族の切迫した困窮と負担について訴え、私は彼に哀れみを感じたため見逃してやりました。」預言者は言いました。「彼はあなたに嘘をついたのである。彼はまた戻ってくるであろう。」(その男は)戻ってきて食料を盗み出しました。私は彼を捕らえてこう言いました。「私はあなたを神の預言者のもとへと連れていかなければならない。そしてこれは三度目であり、最後だ。あなたはもう戻ってはこないと約束したが、戻ってきた。」 彼は言いました。「放してください。そうすれば神があなたを益する言葉を教えてあげましょう。」私は訊きました。「その言葉とは何だ?」彼は答えました。「床につく際にアル=クルスィー節(クルアーン255節)を唱えれば、あなたに神からの庇護者がやって来て、あなたは朝までいかなる悪魔からも護られるでしょう。」 それゆえ私は彼を見逃しました。翌朝神の預言者はこう尋ねました。「あなたが捕らえた者は昨夜何をしたのだ?」私は答えました。「彼は私が神から益される言葉を教えてくれたため、彼を見逃してあげました。」預言者は尋ねました。「彼があなたに教えた言葉とは何だったのだ?」私は言いました。「彼はこう言いました:あなたが床につく際、アル=クルスィー節を初めから終わりまで唱えると、それによって神からの庇護者が あなたにやって来て夜間あなたを守り、朝までいかなる悪魔もあなたに近づくことはできないでしょう。」預言者は言いました。「彼は嘘つきではあるが、実に彼は真実を述べたのだ。アブー・フライラよ、過去三夜においてあなたが話していた相手が誰だか分かるか?」私は言いました。「いいえ。」預言者は言いました。「あれは悪魔なのである。」(サヒーフ・ブハーリーに収録の伝承)
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