ラマダーンと断食(後編):夜の礼拝とその他の宗教行為
説明: みいつの夜には、その翌年に起こる全てのことが全能なる神によって決められるので、ムスリムは神に心からの願い、祈ります。ラマダーンにおける崇拝行為には、モスクに籠ることや、貧しいものを助けることや、マッカを訪れることが含まれます。
- より Dr. M. Amir Ali (edited by IslamReligion.com)
- 掲載日時 06 Aug 2012
- 編集日時 12 Aug 2012
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ライラトル=カドル
これがみいつの夜です。カドルという言葉はよく「力」と訳されます。良訳と思われるのは、「価値」や「定め」といったところでしょうか。なぜならこの夜は1晩で、1000の月、つまり83年以上の価値があるからです。神はこの夜に定めを下します。預言者ムハンマドに、最初にクルアーンが啓示されたのは、この夜のことでした。神はクルアーンでこう述べています。
“本当にわれは,みいつの夜に,この(クルアーン)を下した。みいつの夜が何であるかを,あなたに理解させるものは何か。みいつの夜は,千月よりも優る。天使たちと聖霊(天使ガブリエル)はそこで、その主のお許しと共に、全てのご命令を携えて下ってくる。暁の明けるまで,(それは)平安である。”(クルアーン97章1〜5節)
みいつの夜は神から人類への贈り物です。しかしみいつの夜がいつなのかは、分かっていません。預言者の教友からの記録によれば、預言者がラマダーン月の27日がみいつの夜だとほのめかしていたと言っています。しかし同時に多くの者たちが、ラマダーンの後半3分の1の奇数の夜の内のどれかが、みいつの月だと言っていたと記録しています。預言者ムハンマド(彼の上に神の慈悲と祝福あれ)の教えによれば、ムスリムはラマダーン月の21日、23日、25日、27日と29日に礼拝と善行を行い、みいつの夜を見つけるようにすべきだとされています。一部のムスリムはそれらの夜に徹夜で礼拝や善行を行いますが、預言者ムハンマドと彼の教友たちは少なくとも、夜の3文の1は眠っていたとされています。
ある種のムスリム国家ではラマダーン月27日は休日とされ、人々が夜の礼拝のあと休めるようにしています。また学校はラマダーン月の27日からシャウワール月の2日目まで、みいつの夜とイード・アル=フィトル(ラマダーンの終わりに始まるイスラームの祭日)のために休みとなります。
イァティカーフ(お篭り)
預言者ムハンマドの習わしは、ラマダーンの最後の10日間をモスクで過ごすことでした。これに習って、近くのモスクにお篭りすることは崇拝行為とされています。お篭りしている人々は様々なズィクル(神を思うこと)をして過ごします。例えば礼拝やクルアーンの勉強や朗誦、ハディース(預言者ムハンマドの言行録)の勉強をし、神と彼の預言者に従いつつ、お互いを高め合うのです。お篭りする人々は緊急の場合を除いて外に出る事は許されていないので、モスクで眠り、モスクの施設を使用します。
お篭りしている人々の食事は、彼らの家族や共同体の人々が用意します。大方の場合、お篭りは新月が観測されたとき、あるいはラマダーン月の最終日に終わります。忙しい人々には1晩のみ、1日のみ、または2、3日といった短いお篭りも許されています。
サダカトル=フィトル
大方、貧者、また助けを求める人々に対する物質的援助はサダカと呼ばれます。サダカトル=フィトルはザカートル=フィトルとも呼ばれ、イードの礼拝の前に集められる貧者への義務的援助です。貧者たちがイードを祝えるほどの援助をするのが好まれています。北アメリカ大陸では5ドルから8ドルの食物が、幼児も含め家族全員からそれぞれ出されます。
イードル=フィトル
断食の月の終わりはラマダーン月のあとのシャウワール月(イスラーム暦の10月)の始めに祝われます。ラマダーンの29日、日没後に人々は西方の地平線に新月を観測しにいきます。三日月が観測されれば、ラマダーンの終わりが発表されます。もし三日月が観測されなければ、ラマダーンはもう一日延びます。
イードの日には人々は朝早くシャワーを浴び、朝食を食べ、彼らの持っている服の中で最高のものを着て、香水をつけて、イードの集団礼拝が行われる場所にタクビーラートを言いながら向かいます。タクビーラートとは「神は偉大である。神以外に崇拝するべきものはなく、すべての賞賛は神のものである。」と言う事です。ムスリムたちは、イマームと呼ばれる先導者を待っている間、彼らの家で、道で、集団礼拝の場所でタクビーラートを言います。開けた土地でイードの集団礼拝を行うのが預言者ムハンマドの習わしでした。預言者ムハンマドに従う者たちは開けた土地で集団礼拝を行うように教えられています。しかし北アメリカ大陸のムスリムたちはホールやホテルを貸りて礼拝を行います。
イマームが定められたときに礼拝を先導し、説教を行います。この説教の最後に、人々は祈り、あいさつや抱擁を交わし、ラマダーンの終わりを祝い、神に彼らの努力が受け入れられることを願います。
この日に人々はお互いを訪ね、子どもたちはプレゼントを貰います。人々がピクニックやパーティーに出かける国もあります。イードの祭典が仕事場やその他の場所で開かれることもあります。イードは神への感謝と家族や友達に会いに行く日なのです。
ラマダーン中のウムラ(小巡礼)
預言者ムハンマドが、ラマダーン中にウムラを行うとハッジ(大巡礼)を行ったのと同じとされると言った記録があります。ハッジは預言者アブラハム(彼の上に平安あれ)と彼の妻ハジャル、そして彼の長男イスマエルが受けた試練と苦難を体現化したものです。ハッジには5日間かかりますが、ウムラは2、3時間で終わります。ウムラはハッジの中のほんの一部なのです。ウムラの最後には動物の屠畜も行われます。ウムラはどの時期に行われても良いのですが、ラマダーンの間に行われるウムラは特別なのです。
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