ラマダーンと斎戒(前編):斎戒
説明: ラマダーン月の斎戒について。
- より M"アミール"アリー博士
- 掲載日時 06 Aug 2012
- 編集日時 22 May 2016
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ラマダーンとはイスラームの太陰暦における9月のことで、29日間もしくは30日間の期間のことを指します。イスラームの月は、日没後すぐに西方で新月が観測されることによって開始します。ムスリムたちはシャアバーン月(イスラーム暦の8月)の29日に西の地平線で新月を観測しに行きます。もし月が観測されれば、その次の日の出から斎戒を始めますが、もし月が観測されなかったのなら、シャアバーン月(その前の月)の30日目を終え、ラマダーンはその翌日から始まります。
ラマダーンと斎戒の重要性
神はクルアーンの中でこう言っています。
“信仰する者よ,あなたがた以前の者に定められたようにあなたがたに斎戒が定められた。恐らくあなたがたは主を畏れるであろう。”(クルアーン2章183節)
“ラマダーンの月こそは,人類の導きとして,また導きと(正邪の)識別の明証としてクルアーンが下された月である。それであなたがたの中,この月(家に)いる者は,この月中,斎戒しなければならない。病気にかかっている者,または旅路にある者は,後の日に,同じ日数を(斎戒する)。アッラーはあなたがたに易きを求め,困難を求めない。これはあなたがたが定められた期間を全うして,導きに対し,アッラーを讃えるためで,恐らくあなたがたは感謝するであろう。”(クルアーン2章185節)
つまり、ラマダーン月はクルアーンの月とも呼ばれます。それゆえムスリムはこの月にクルアーンを頻繁に朗誦します。
サウム(斎戒)
サウム(斎戒)は日の出に始まり、日没に終わります。ムスリムは日の出前に起き、サフール(夜明け前の食事)を食べ、斎戒に備え十分な量の飲み物を飲みます。そして日の出前には、飲食を止めます。日が出ている間は、飲食も性行為もしてはいけません。更にムスリムたちはイスラームの教えに厳しく従わなければならず、従えなければ斎戒の務めを果たしたことにはなりません。
ラマダーン月の斎戒は、思春期を過ぎた全ムスリムに課される宗教行為です。生理中、または産後の出血中の女性は、それらが終わるまで斎戒を中断します。また、病気の人や旅行中の人も斎戒を中止します。
ムスリムが斎戒をするのは、神が彼らにそう命じたからです。しかし、彼らは斎戒には、空腹や喉の乾き、性的衝動を自制し、よりモラルのある人間になり、創造主により誠実になるための訓練となるという利点もあることを実感します。斎戒中であっても、仕事をすることは許されています。
斎戒は、日没後にナツメヤシを食べるか、水やジュースを飲むことによって解かれます。しかし禁忌とされている食べ物や飲み物は斎戒を明けるために使われません。マグリブのサラー(日没時の礼拝)がその後に行われ、その後に本格的な食事があります。しばらく休んでから、ムスリムたちはイシャーのサラー(夜の礼拝)に行き、そのあと特別な夜間礼拝であるタラーウィーフがとり行われます。
タラーウィーフ
いつも通りの夜の礼拝の後には、集団礼拝が行われます。伝統的に、ハーフィズ、つまりクルアーンをアラビア語ですべて記憶した人がその礼拝を導きます。彼はクルアーンを少しずつ順番に、毎晩朗誦していき、ラマダーン中またはラマダーンの終わる頃にクルアーンを全て朗誦します。この礼拝に参加する全てのムスリムが、この月の終わりまでにクルアーンを最初から最後まで聴くことができるのです。ハーフィズがいなければ、その集団の中でクルアーンを最も記憶しているものがその能力に応じて朗誦します。多くのイスラーム学者たちはスンナ(預言者ムハンマド[彼の上に神の慈悲と祝福あれ]の言行)から、彼がラマダーン中でラマダーンではないときでも夜中に一人で礼拝していたとしています。また彼の偉大な教友たちも同じようにしていたとされています。
ラマダーン中の寛容さ
ラマダーン中は、善行を行う者にいつもより多くの祝福が与えられます。この期間中は人々はより寛容で、誠実で、優しくなり、より多くの善行を行おうとします。貧者たちは食べ物や衣服、金銭を裕福なムスリムから受け取ります。多くのムスリムは、斎戒を解き、食事をとるためにモスクに行きます。近所の人々はモスクに果物や飲食物を届け、毎晩友愛に満ちた夕食を楽しむのです。
イスラーム共同体の中で良く知られた寄付者たちは、貧者に喜捨を求められます。ザカーと呼ばれる財産を清める喜捨や寄付がこの時期に支払われますが、それはムスリムたちが神から何倍もの報酬を期待しているからなのです。
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