神によるスンナの保持(6/7):ハディース探求の旅

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説明: イスラームによって知識習得の重要性が強調されることにより、多くのムスリムは長旅に出て、預言者ムハンマドの言行の収集と確認をしました。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2011 IslamRelig
  • 掲載日時 27 Jun 2011
  • 編集日時 27 Jun 2011
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God_s_Preservation_of_the_Sunnah_(part_6_of_7)_001.jpgスンナの保持方法として現れたもう一つの現象は、情報源を確認し、より多くのハディースを収集するためのハディース探求の旅でした。世界中のあらゆる宗教的共同体において、イスラーム共同体だけが、二つの方法によって元来の純粋な教えの数々を保持し、その喪失を免れるという祝福を受けています。これら二つの方法の一つとは、既に言及されたイスナードの使用によるもの、そして二つ目はこれから述べられるハディース探求の旅によるものです。ムスリムたちの間に沸き起こった宗教的知識を求めようとする強い願望は、単に預言者(神の慈悲と祝福あれ)の言葉を集め、確認するためだけに彼らに数ヶ月もの旅をさせたのです。こうしたハディースへの献身と、現世における大きな犠牲をも厭わない姿勢が、預言者のハディースの完全なる保持に大いに貢献したのです。M・ズバイル・スィッディーキーは述べています:

これら「伝統主義者」たちの様々な世代によるハディース探求の活動は、驚嘆すべきものを見せつけたのである。彼らの目的に対する情熱は極めて強かったのだ。また彼らの意気込みは留まるところを知らなかった。そして彼らは、そのために災難を被ることもまったく厭わなかった。彼らの中の裕福な者はその富を捧げ、貧しい者はその命を捧げたのである。1

初期のムスリムたちにとって、知識に対する願望が非常に高かったのはなぜでしょう?この問いかけに完全に答えることの出来る者はいませんが、この高い願望を説明することの出来る多くの理由があったはずです。それらの理由として以下のものが含まれるでしょう:

(a)ハディースの知識は敬虔な者たちを預言者の慣行へと導き、さらに彼らはその前例に従うことにより、より神に近づくことが出来ることを知っているのです。

(b)クルアーン、そして預言者は共に知識取得の重要性とその功徳を強調しています。神はこう仰せられています:

“…言え。「知識ある者と知識のない者が同じであろうか。」…”(クルアーン 39:9)

“…アッラーのしもべの中で知識のある者だけがかれを畏れる。…”(クルアーン 35:28)

この件に関する預言者の多くの発言には以下のものが含まれます:

“知識を求め旅立つ者のために、神は楽園への道を容易にされよう…”2(サヒーフ・ムスリム)

預言者はまた、このようにも述べています:

“アダムの子が死ぬと、次の三つ以外のすべての善行は絶たれる:不断の喜捨、(彼の遺した)有益な知識、そして彼のために祈願する敬虔な子である。”3(サヒーフ・ムスリム)

初期の学者たちは知識習得の重要性と共に、創造主に関する知識よりも優れたものはないということを認識していました。それゆえ彼らは預言者の教えを学ぶことにおいて、最善を尽くしたのです。

初期の例を知ることにより、ハディース探求の旅に関するはっきりとしたイメージが湧いてくるでしょう。実際には、ハディース探求の旅は預言者の時代には既に始まっていました。当時から人々は特定の問題に関して預言者に尋ねるために、マディーナの外からやってきていました。時には、預言者の代理人によって報告されたものを預言者本人に確認しに来る場合すらありました。アル=ブハーリーとムスリムの伝承集の中では、教友たちがそういった出来事を待ち望んでいたことを見て取ることが出来ます。なぜなら教友アナスが述べたように、彼らは預言者に多くの質問をすることを禁じられていたため、聡明なベドウィンが預言者を訪れて特定の質問をしてくれることを期待していたのです。

以下は、預言者に関して耳にしたハディースを確認するために旅をした教友たちの例です。4

イマーム・アル=ブハーリーはサヒーフの中で、ジャービル・ブン・アブドッラーが、アブドッラー・ブン・ウナイスによるたった一つのハディースを手に入れるため、一ヶ月の旅をしたことを記録しています。アッ=タバラーニーによって記録されたバージョンでは、ジャービルがこう言ったとされています:“私は懲罰について、預言者に関するハディースを聞いていたが、それを(預言者から直接)伝えていた人物はエジプトにいたため、私はラクダを購入してエジプトへと旅立った…”5

また教友の一人アブー・アイユーブは、ウクバ・ブン・アムルにたった一つのハディースについて尋ねるため、遥かエジプトまで旅をしました。彼はウクバに、この特定のハディースを預言者から直接聞いたのは、彼とウクバしか残っていなかったことを告げています。彼のエジプトでの任務であったそのハディースの確認を終えると、彼はマディーナに戻りました。

また、ある教友の一人はファダーラ・ブン・ウバイドのもとに旅をしました。そして彼は、ファダーラを訪れるために来たのではなく、ただ彼ら双方が聞いたとされるハディースのことを尋ねるために来たのであること、そして教友たちはファダーラがそのハディース全文を保存していることを望んでいるのを伝えたのです。6

これらの教友たちの逸話から、彼らがハディース探求の旅に出たのは基本的に二つの理由からであると結論付けられます:

(a)彼ら自身が預言者から直接聞くことの出来なかったハディースを、教友仲間から聞き出すため。すなわち、そうすることによってハディースの知識を増やすため。

(b)彼ら自身、または他の教友たちが預言者から直接聞いたハディースの内容、そしてその意味を確認するため。そのため、教友たち自身も常に確認を繰り返し、彼らの伝えるハディースの純粋性を保護していたのです。

教友たちの弟子(タービウーン[追従者たち]と呼ばれる者たち)の時代になっても、ただ預言者のハディースを聞くためだけ、あるいは確認するためだけに旅をする願望は消えうせませんでした。マディーナは預言者が長年に渡って生活したスンナの発祥地でもあり、教友たちの多くは預言者逝去後もそこに住み続けたため、知識探求の中心地でした。しかし実際にはある特定のハディースが伝えられていれば、そこがどこであれ「旅行者」の目的地となったのです。

そのような例には枚挙の暇がありません。アル=ハティーブ・アル=バクダーディーは、ハディース探求の旅に関する著作を残しています。アッ=リヒラ・フィー・タラブ・アル=ハディース(「ハディース探求の旅」)と題されてた書です。この書が、ただ単にハディースを学ぶために旅した学者たちに関することだけを取り上げているわけではないことは、この著作への関心をさらに高めます。ハディース探求の旅はほぼすべての学者たちによって、イスラームの歴史を通して行われていたのです。実際、もし学者が旅をしなければ、それは奇妙なことであるとさえ見なされていました。つまりこの本は、編集を行ったヌール=ッディーン・イトルにより指摘されているように、たった一つのハディースを求めてなされた数々の旅について書かれたものなのです。7



Footnotes:

1M. Z. Siddiqi, Hadeeth Literature: Its Origin, Development, Special Features and Criticism (Calcutta: Calcutta University Press, 1961), p. 48.

2 サヒーフ・ムスリム

3サヒーフ・ムスリム

4 更なる例を知りたいお方は、この文献をご参照ください:Akram Dhiyaa Al-Umari, Buhooth fi Tareekh al-Sunnah al-Musharrifah (Beirut: Muassasah al-Risaalah, 1975), pp. 203f.

5 イブン・ハジャルはこのバージョンの伝承経路を良好のものであるとしています。参照:Ibn Hajar, Fath al-Baari, vol. 1, p. 174.

6 この出来事はアブー・ダーウードによって記録されています。

7  See Noor al-Deen’s introduction to al-Khateeb al-Baghdaadi, al-Rihlah fi Talab al-Hadeeth (Beirut: Daar al-Kutub al-Ilmiyyah, 1975), p. 10.

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