イスラームにおける非ムスリムの権利(10/13):生命・財産・名誉の保護

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説明: イスラーム法の下における、非ムスリムの生命・財産・名誉の保護。

  • より IslamReligion.com(サーリフ・アル=アーイド博士による執筆)
  • 掲載日時 03 Dec 2012
  • 編集日時 03 Dec 2012
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The_Rights_of_Non-Muslims_in_Islam_(part_10_of_13)_001.jpgイスラーム法は、ムスリム・非ムスリムであるかを問わず、生命・財産・名誉の保護などといった基本的人権を守ります。非ムスリムが(イスラーム国家の)居住者・来訪者であるかに関わらず、彼らはこれらの権利を保証されるのです。これらの権利は、法によって認められ、正当化される事例以外には剥奪されることはありません。一例を挙げるなら、非ムスリムは殺害罪で有罪にならない限りは殺されることはないのです。神は述べます。

“言ってやるがいい。「さて、わたしは主があなたがたに対し禁じられたことを、読誦しよう。かれに何ものでも同位者を配してはならない。両親に孝行であれ。困窮するのを恐れて、あなたがたの子女を殺してはならない。われは、あなたがたもかれらをも養うものである。また公けでも隠れていても、醜い事に近付いてはならない。また、アッラーが神聖化された生命を、権利のため以外には殺害してはならない。このようにかれは命じられた。恐らくあなたがたは理解するであろう。”(クルアーン6:151)

預言者ムハンマドは、非ムスリムの居住者・訪問者の生命は侵害されざるべきものであると宣言しています。

「誰であれ、我々と条約を締結している者を殺した者は、楽園に近づくことは出来ず、その芳香を嗅ぐことが出来ない。その芳香は40年の旅に相当する距離の先にまで漂っているのにも関わらずである。」(サヒーフ・ブハーリー)

イスラームは非ムスリムに対する暴行や、名誉・財産の侵害を許しません。もし誰かがズィンミー(イスラーム国家内に居住する非ムスリム庇護民)から何かを窃盗したのなら、その人物は懲罰を受けなければならず、もし誰かがズィンミーから何かを借りたのなら、それは返却されなければなりません。預言者ムハンマドはこう述べています。

「契約の民の所有物を取ることは、それが(支払いとしての物々)交換でない限り、合法ではない。」1

彼はこのようにも述べています。

「実に強大かつ荘厳なる神は、彼らに課されたもの(ジズヤ)をあなたがたに差し出す限りにおいて、あなたがたが許可を得ずして啓典の民の家に入ることを許されなかったし、その女性を叩くこと、その果実を食べることを許されなかったのだ。」(アブー・ダーウード)

エジプトのアフマド・ブン・トゥールーンの時代に興味深い逸話があります。ある日、キリスト教の修道士が総督について不平を訴えるためにトゥールーンの宮殿を訪れました。彼を見た番兵は彼の抱える問題について尋ねましたが、総督が修道士から300ディナールを奪ったことを知ると、彼が不平を訴えないことを条件に彼自らが修道士に直接その額を支払うことを提案し、修道院はその提案を受け入れました。

この出来事を耳にしたトゥールーンは法廷に修道士、番兵、総督を一同に召喚しました。トゥールーンは総督に言いました。「あなたには必要性を満たすだけの十分な収入がないのか? 他者からの搾取を正当化出来るほど、窮乏しているというのか?」

総督は非を認めましたが、トゥールーンは尋問を続けた末に彼を解任しました。次にトゥールーンは総督がいくら奪ったかを修道士に尋ねると、修道士は300ディナールであると答えました。するとトゥールーンはこう言いました。「あなたが3000ディナールだったと主張しなかったことは、大きな懲罰が必要な彼(総督)にとっては不幸中の幸いだったが、私はあなたの主張に基づいた判決しか下すことは出来ない。」そして総督から金を取り、修道士へと返却しました。」2

非ムスリムは名誉が保護される権利も有しています。この権利は非ムスリムの(イスラーム国家)居住者だけでなく、訪問者にも適用されます。彼ら全員には安全性と保護を受ける権利があるのです。神は述べます。

“もし多神教徒の中に、あなたに保護を求める者があれば保護し、アッラーの御言葉を聞かせ、その後かれを安全な所に送れ。これはかれらが、知識のない民のためである。”(クルアーン9:6)

庇護を受ける権利は、すべてのムスリムが尊重し、庇護者を支援すべきものです。預言者はこのように述べています。

「契約によって課される義務は集団義務であり、それに最も近いムスリムがその実現に尽力すべきである。誰であれ、ムスリムによって授与された保護を侵害する者は、神、天使、そして全人の呪いを受け、審判の日に彼のための執り成しは一切認められないであろう。」3

女性の教友のひとり、ウンム・ハーニーは預言者にこう言っています。

「神の使徒よ、私の兄弟アリーは私が庇護するイブン・フバイラという名の男と戦うと宣言しています。」

預言者は彼女に言いました。

「ウンム・ハーニーよ、あなたが庇護を与えた者は誰であれ、我々すべての庇護下にあるのだ。」4

庇護を受ける権利とは、それを求める非ムスリムに対してムスリムが庇護を与え、安全を保証するものであり、それを侵害する者すべてへの痛烈な懲罰を警告するものです。庇護はそれが与えられた者に対する侵略・攻撃からの保護を保証するものです。他のいかなる宗教もこの権利を明確に保証したものはありません。



Footnotes:

1 ムスナド・アフマド

2 Ibn Hamdun, ‘at-Tazkira al-Hamduniyya,’ vol. 3, p. 200-201

3 サヒーフ・ブハーリー、イブン・マージャ

4 サヒーフ・ブハーリー。

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