イスラームにおける家族(パート2/3):結婚

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説明: 結婚が、信仰や倫理、道徳といかに関連し合っているかについて、イスラームの啓典からの根拠をもとに議論して行きます。

  • より ベン・アダム(ゥ 2010 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 10 Jan 2011
  • 編集日時 10 Jan 2011
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結婚

「そして(神が)あなた方のために、あなた方がそこに留まるための配偶者をあなた方自身から創られたことは、かれのみしるしの1つである。そしてかれはあなた方の間に、愛情と慈悲の念を授けられた。実にそこには熟考する民へのみしるしの数々があるのだ。」(クルアーン 30:21)

結婚は人間の社会的慣習の内でも、最古のものです。結婚はアダムとイブという、最初の男女の創造と共に出現しました。そしてそれ以後、全ての使徒は各社会への模範として遣わされましたが、その最初の者から最後の者まで彼ら全員が、結婚という慣習を異性愛的交際の神聖なる表現として保持したのです[1]。また今日に至るまで、男女のカップルがお互いを「私の夫」や「私の妻」と紹介し合う方が、「私の恋人」や「私の彼氏・彼女」と紹介し合うより、より正当であり適切であると考えられています。なぜなら結婚を通してこそ男女は、彼らの性欲や、また愛情や渇望、交際や親交などといったことに関する本能を、合法的に満たすことが出来るからなのです。

「…彼女らはあなた方の衣であり、あなた方も彼女らの衣である…」(クルアーン 2:187)

しかし時間の経過と共に、ある集団は異性と性的関心について極端な信条を抱くようになりました。特に女性は、多くの宗教人によって悪と見なされ、ゆえに彼女らとの接触は最低限に保たれなければならない、とされました。こうして、生涯において隠遁と独身が求められる修道生活は、彼らの見なす「結婚に代わるもの、そしてより信心深い生活」を求める人々により発明されたのです。

「それからわれら(神)は、われらの使徒たちを遣わして彼らの足跡を継がせた。そしてその後にマリヤの子イエスを遣わし、福音を授けた。また彼に従った者たちの心に、哀れみ深さと慈しみの念を与えた。そして彼らが発明した修道院。われらがそれを定めたのではないが、彼らが神のご満悦を望んでそれを始めたのである。しかし彼らはそれをきちんと遵守していたわけではなかった。こうしてわれらは、彼らの内の信仰した者には報奨を授けたのだが、彼らの多くは反抗的な輩であった。」(クルアーン 57:27)

修道士(クリスチャンや仏教徒など)にとっての唯一の家族は、修道院または寺院の中にいる、彼らの修道士仲間なのです。キリスト教の場合、男性だけでなく女性も、修道女または「キリストの花嫁」になることによって、信心深い地位を獲得することが出来ました。しかしこの不自然な状況は、児童虐待や同性愛、不法な性的関係など、現実に修道院の中で起こっている沢山の社会悪をもたらしました。そしてそれらは全て実際のところ、犯罪と見なされる類のものです。尚、節制と隠遁という非イスラーム的慣行を踏襲した異端派ムスリム、あるいは使徒ら自身よりも敬虔なる神への道を歩んでいるのだと少なくとも主張した者たちは、これらと同様の悪徳や恥ずべき地位に屈してしまいました。

預言者ムハンマドは彼自身の人生において、結婚が神により近づくために一つの障害となり得るのではないか、という疑問に対し、彼の考えを明白にしたことがありました。ある時、一人の男が預言者に向かって、自分は女性とは無関係であろう(つまり結婚しない、ということ)、と誓いました。それに対し、預言者はこのような厳しい宣言でもって応えたのです:

「神にかけて。私はあなた方の内で最も敬虔な者であるが、結婚する。私のスンナ(手法)を避ける者は、私の内の者ではない(つまり、真の信仰者ではない)。」

「(ムハンマドよ、人々に)言え、「あなた方が神のことを愛しているのなら、私に従うのだ。そうすれば神はあなた方を愛して下さり、あなた方の罪をお赦し下さるであろう。」神はお赦し深く、慈悲深いお方である。」(クルアーン 3:31)

現実には、結婚は人の信仰にとって悪いものであるという視点とはほど遠く、ムスリムは結婚が彼らの宗教的献身の肝要な一部分であることを堅持しています。前述したように、預言者ムハンマドは、結婚が宗教(イスラーム)の半分であるとはっきりと述べました。これは言い換えてみれば、忠実さ、貞節さ、慈しみ深さ、寛大さ、寛容性、優しさ、努力すること、忍耐心、愛情、感情移入、同情、気遣い、学習、教育、信頼性、勇気、慈悲の念、慎み深さ、赦し深さなどの全てのイスラーム的美徳の半分は、結婚生活を通して自然な表現を見出すことが出来るのかもしれません。それゆえに神をよく意識することと良い性格は、適切な配偶者を探すに当たって原則的基準とされているのです。預言者ムハンマドは以下のように述べました:

「女性は4つの要素をもって配偶者として求められる:つまりその富、地位、美しさ、宗教的献身性である。ゆえに宗教的な女性と結婚するのだ。そうでなければ、あなた方は敗者となってしまうであろう。」(アル=ブハーリー収録の伝承)

疑念の余地なく、非イスラーム世界の多くの地域で広まっている社会的病気と腐敗は、イスラーム世界の一部地域でも同様に観察されます。それでも乱交や姦淫・不貞は今でもイスラーム社会一般において厳しく非難されており、単に「弄ぶ」とか「遊び歩く」などの下らない趣味のレベルにまでは解禁されていないのです。実に、ムスリムは依然として婚前交渉や不倫関係がコミュニティに及ぼす多大な破壊力を認めていますし、知っているのです。実際クルアーンは、人を不貞で訴えることが、現世と来世において惨憺たる結果をもたらすことを明らかにしています。

「そして貞淑な女性を姦淫で告発した後に4人の証人を呼んで来れない者は、80回の鞭打ち刑にせよ。そして(その後、)その者の証言はもう永久に受け入れてはならない。彼らは放埓者なのである。」(クルアーン 24:4)

「醜行などからは程遠い、貞淑な信仰者の女性を(根拠もなく)姦淫で訴える者は、現世と来世において呪われよう。そして彼らにはこの上ない懲罰があるのだ。」(クルアーン 24:23)

皮肉にも、奔放な性関係の結果最も苦しむことになるのは未婚女性である可能性が高いにも関わらず、一部のフェミニスト運動の急進派は、結婚制度の廃止へと呼びかけています。「NOW」運動のシーラ・クローニンは、伝統的な西欧式結婚生活が、女性に性感染症やその他沢山の問題や虐待などからの安全保護を提供することにおいて失敗し、動揺に陥ってしまった社会に属する中で、フェミニストの駆け出しが有する狭窄的展望と共に、こう意見を述べています:「結婚は女性にとって、奴隷制体質を帯びています。女性解放運動がこの制度への攻撃に集中しなければならないことは、明らかです。女性のための自由は、結婚の廃止なくしては得られません。」

しかしイスラームの結婚、いや、むしろイスラームに則った結婚は、それ自体が女性の自由を保証するための一つの手段なのです。完全なるイスラーム的結婚の例に関し、預言者ムハンマドのそれよりも偉大なものはないでしょう。彼はその支持者に、こう言いました:「あなた方の内で最善の者は、その女性たちを最善の形で扱う人々です。そして私は、私の女性たちに対して最善の者なのです。[2]」預言者の最愛の妻アーイシャは、彼女の夫の待遇が彼女に与えた自由に関し、こう証明しています:

「彼は常に家事に参加し、ある時には自分の衣服を繕い、自分の靴を修繕したり、床を掃いたりしたものでした。また彼は乳を搾ったり、家畜に餌をやったり、家の雑用をやったりもしていました。」(アル=ブハーリー収録の伝承)

「神(との謁見)と来世を望み、神をよく念唱する者にとって、神の使徒は実に良い模範である。」(クルアーン 33:21)



Footnotes:

[1] それらの使徒が実際に結婚したかどうかに関わらず、です。例えばイエスは独身のまま天に召されました。しかしムスリムは、彼が最後の時の直前に地上に降臨し、他の家庭人のように一人の夫と父として、最高位に君臨すると信じています。ゆえに、イエスは結婚し子供をもうけた、というダヴィンチ・コードの仮想的主張に関する最近の議論は、メシアが家庭人になり得たということを示唆するという事実において、ただ単にそれが時期尚早であったというだけであり、あながち冒涜的なことではありません。

[2] アッ=ティルミズィー収録の伝承。

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