屠畜(1/4):イスラーム的屠畜とは

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説明: 近代的な屠畜の手法と、イスラームにおいて義務付けられる手法との比較。第一部:イスラーム的に動物の食用が合法とされる規定、そしてそれが残酷であるかどうかについて。

  • より M.アブドッサラーム
  • 掲載日時 24 Dec 2012
  • 編集日時 19 Jun 2022
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The_Slaughter_of_Livestock_(part_1_of_4)_001.jpgユダヤ教の食事規定であるカシュルートよりも簡素ではありますが、イスラームにも食における規定が定められています。イスラームにおいて、現世に関わるすべての法律は利益を最大限にし、害悪を最小限に留めるという教訓に基づいたものであり、もしも何かの害がそこから得られるであろう益を上回るものであれば、それは一般的にイスラームにおいて禁じられるのです。神はこのように述べます。

“彼らは酒と、賭矢についてあなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それらは大きな罪であるが、人間のために(多少の)益もある。だがその罪は、益よりも大である。」”(クルアーン2:219)

こうした理由により、イスラームでは屠畜において、その肉から利益を得ることの出来るように特定の戒律を順守することを命じます。そしてそれらの義務は、それらが守られなかったときに発生するであろう内在的な害や健康への悪影響を避けることため、また動物に対して与えられる苦痛を軽減させるためのものなのです。

イスラーム的な屠畜の手法

食肉の合法性に関わる主な法律の一つは、それが宗教的義務に基いて屠畜されたのかどうか、というものです。禁じられたものとは、いかなる動物であれ、自然死、絞殺、窒死、殴打死、墜落死、角によって刺殺されたもの、または野生動物によって部分的に食べられたものです。肉を食べることが合法化されるためには、喉を切る際に脊髄を切断することなく、気管、食道、頚静脈と頸動脈がすべて同時に切断されなければなりません。

この手法こそが、動物の屠畜における最も人道的な手法なのです。また、これは第48章7編1901〜1902(b)欄にて、米国議会において唯一認可された手法でもあります。そこには、以下のように記されています。

議会は屠畜の手法として、不必要な苦痛を避ける人道的なものであることが、屠畜に携わる業者の安全でより良い環境と、屠畜産業における製品と経済の改善につながり、生産者、処理者、各州・外国商業における家畜と家畜製品の規則正しい流通を促進する消費者の有益性につながるものであるとする。それゆえ合衆国の方針として、屠畜に関わる家畜の取り扱いは人道的手法のみによって行われなければならないことを宣言する。

人道的な屠畜でない限り、それは米国の公的方針に従うものでないと見なされる。以下の二つの屠畜手法を共に人道的なものとする。

(a)牛、子牛、馬、ラバ、羊、豚を始めとする家畜を含むすべての動物は、足かせ、つり上げ、放り投げ、切り込みをされる前に、致命的な一撃、射殺、あるいは電気ショックや薬物などによるその他の迅速的、かつ効果的な手法によって痛みを感じさせないようにしなければならない。

(b)または、尖鋭な刃物を用いて頸動脈を素早く切断し、脳貧血によって動物の意識を失わせるような、ユダヤ教やその他の宗教の儀礼に則った屠畜と、それにつながる処理法。1

上記からも分かるように、この屠畜手法は動物にとっての最小限の苦痛を保証すると同時に、その肉の食用を可能にさせます。血管の素早い切断は、痛みを感じさせる脳神経の部位への血流を止めるため、動物はそれを感じることがありません。切断後の動物による激しい動きは苦痛から来るものではなく、筋肉への血液不足による攣縮と弛緩です。体内に留まる血液は微生物の媒体としての役割を果すため、この動きは肉の浄化にとって極めて重要である、動物の体内からの最大限の出血を促進し、より長期に渡って肉の新鮮さが保たれます。また体内からの急速な出血を促す別の重要な要素として、頸動脈の切断と共に、気管、食道、頚静脈の同時切断があります。しかし脊髄の切断は、心臓につながる神経線維を傷付け、心停止を引き起こし、出血の停滞の原因となります。

こうした手法で動物は苦痛を感じるのか?

ドイツのハノーバー大学獣医学部において、ヴィルヘルム・シュルツ教授と彼の同僚であるハーズィム博士の主導のもと行われた、「Attempts to Objectify Pain and Consciousness in Conventional (captive bolt pistol stunning) and Ritual (halal, knife) Methods of Slaughtering Sheep and Calves(羊・子牛を屠畜するための慣例的手法(家畜銃ピストル)と儀礼的手法(ハラール、ナイフ)における苦痛と意識を客観化する試み)」という表題の研究では、動物の頭部各部に、脳の表層に至る電極が埋め込む手術が行われました。数週間後に動物たちが回復するのを待ち、それらの一部には既述されたような、気管・食道・頚静脈・頸動脈を同時切断するイスラーム的な屠畜が行われました。そして別の動物には、屠畜の前に気絶処理が施されました。実験において、すべての動物が屠畜される際と気絶処理を施される際の脳と心臓の状態が脳電図(EEG)と心電図(ECG)によって記録されました。その記録された結果は以下のとおりです。

1.EEGによって記録された、イスラーム的屠畜における最初の3秒間では、屠畜前と比較して何の変化も観測されなかった為、当該動物は切開の最中と直後に何の苦痛も感じていなかったことを示した。

2.その後の3秒間においては、EEGによって昏睡・意識不明状態が記録された。これは肉体からの大量出血が原因によるものである。

3.上記の6秒間の後、EEGはゼロのレベルを記録した。それはつまり全く苦痛が無かった事を示している。

4.脳波(EEG)がゼロのレベルに落ちた後も、心臓は依然として鼓動を続け、肉体は力強く痙攣し、最大限の出血によって消費者にとっての衛生的な肉を提供する結果となった。



Footnotes:

1 (http://assembler.law.cornell.edu/uscode/html/uscode07/usc_sec_07_00001901----000-.html)

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