アブラハムの物語(4/7):カナンへの移住
- より IslamReligion.com
- 掲載日時 16 Jan 2012
- 編集日時 28 Jan 2022
- プリント数: 229
- 観覧数: 32,563 (日平均: 7)
- 評価者: 130
- メール数: 0
- コメント日時: 0
近代の考古学的発見により、高位の女神官は皇帝の娘だったことが示唆されています。当然ながら、彼女は神殿を冒涜した人物の処罰を要求したでしょう。まだ若者だったアブラハム1は裁判にかけられ、国王(おそらくニムロデ王だったと推測されます)の前に一人立たされたのです。アブラハムの父親でさえ、彼の側には付きませんでした。しかし、これまで常にそうであったように、彼の側には神が付いていたのです。
王との確執
ユダヤ・キリスト教の伝承では、アブラハムがニムロデ王によって焼身刑の判決を下されたことが明確に主張されていますが、クルアーンではこの件について明言はされていません。しかしながら、アブラハムと国王との確執については言及されており、一部のムスリム学者はその人物をニムロデ王と見なしていますが、それは人々がアブラハム殺害を試みた後だったとしています2。神がアブラハムを炎から救出した後、この件が国王に報告され、国王はその思い上がりから神と競おうとしたのです。彼はアブラハムと議論を繰り広げました。神はこう述べます。
“神が彼に王権を授けられたことから、(高慢になり)主についてアブラハムと論議した者について考えてはみたか。”(クルアーン2:258)
アブラハムの論点には、否定の余地がありませんでした。
“アブラハムが「私の主は、生を授けまた死を賜う御方だ。」と言った時、彼(王)は「私も、生を授けまた死を与える。」と言った。”(クルアーン2:258)
そこで王は、死刑の宣告を受けた二人の男を連れ出しました。彼は一方を釈放し、もう一方に刑の執行を言い渡しました。王によるこの返答は文脈を無視した愚かなものでしたが、アブラハムが次の議論を持ち出すと、それは王を完全に沈黙させたのです。
“アブラハムは言った。「神は、太陽を東から昇らせられるが、あなたはそれを西から昇らせてみなさい。」そこでかの不信仰者は当惑してしまった。神は不義を行う民を御導きにはなられない。”(クルアーン2:258)
アブラハムの移住
長年に渡る呼びかけと人々による拒否の末、神はアブラハムが彼の家族と人々から決別することを命じました。
“アブラハムや彼と共にいた者たちのことで、あなたがたのため実に良い模範がある。彼らが自らの民に言ったことを思い起こせ。「本当に私たちは、あなたがたとあなたがたが神を差し置いて崇拝するものとは、何の関りもありません。あなたがたと絶縁します。私たちとあなたがたの間には、あなたがたが神だけを信じるようになるまで、永遠の敵意と憎悪があるばかりです。」”(クルアーン60:4)
幸いにも、彼の家族の中の二人だけは、彼の教えを受け入れました。彼の甥ロト、そして妻サライです。こうして、アブラハムは彼ら、そしてその他の信仰者たちと移住を決行しました。
“ロトは彼(アブラハム)を信じた。彼(アブラハム)は言った。「私は主(の御許)に移り住もう。かれこそは全能かつ英明な御方であられる。」”(クルアーン29:26)
彼らは祝福された地であるカナン(シリア地方)へと移住しました。ユダヤ・キリスト教の伝承によると、アブラハムとロトは、移住先で東西に人々を振り分けたとされています3。
“われは彼とロトを、森羅万象のためにわれらが祝福した地へと救い出した。”(クルアーン21:71)
この祝福された地において、神はアブラハムの子孫を祝福することを選ばれたのです。
“われら(神)は彼に(子の)イサクを授け、またその上の賜物として(孫の)ヤコブを授けた。われはそれぞれを、正しい者とした。”(クルアーン21:72)
“これはわれらがアブラハムに授け、その民を説得するために述べた確証であった。われらは嘉する者の(英知や徳性の)階位を高める。誠にあなたの主は英明にして全知であられる。われらは彼(アブラハム)に(子)イサクと(孫)ヤコブを授けて、それぞれを導いた。先にノアも導いた。また彼(アブラハム)の子孫の中には、ダビデと、ソロモン、ヨブ、ヨセフ、モーゼ、アロンがいる。われらはこのように善い行いをする者に報いる。またザカリヤ、ヨハネ、イエスとエリヤがいる。それぞれみな正義の徒であった。またイシュマエル、エリシャ、ヨナとロトがいる。われは彼らを、皆世に秀でた者とした。また彼らの祖先と子孫と兄弟の中、われは彼ら(のある者)を選んで正しい道に導いた。これは神の導きであり、かれはそのしもベの中から、御好みになられる者を導かれる。もし彼らが(神に同位者を)並べたならば、すべての行いは彼らにとって無益なものとなろう。これらの者は、われらが啓典と識見と預言の天分を授けた者たちである。”(クルアーン6:83−89)
諸預言者は、彼らの民への導きとして選ばれたのです。
“われらは彼らを、わが命令を奉じて(人びとを)導く導師とし、彼らに善行に励み、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をするよう啓示した。そして彼らは一生懸命にわれらに仕えた。”(クルアーン21:73)
コメントを付ける