イスラームにおける経済システム(下):その概念

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説明: 社会の経済システムを導くためにイスラームが立法化した原理の紹介。その二。経済活動の理念的基礎と人々を導く一般規定。

  • より IslamReligion.com
  • 掲載日時 08 Oct 2012
  • 編集日時 08 Oct 2012
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経済活動の理念的基礎

The_Economic_System_of_Islam_(part_2_of_2)JP_001.jpgイスラームにおける理念的基礎は6つの根本指針に集約することが出来ます。

この基本理念は、宇宙の創造主として、主として、権力者としての神を信仰するところから、全ては始まらなければいけないということです。それは神の意思に従い、彼の導きを受け入れ、完全に神に服従することを意味します。つまりイスラーム教徒は個人としても社会としても、例えば利子などといった、イスラームとは別の社会のシステムを真似したり手本としたりするべきではないのです。

第二の理念は、イスラームが宗教であり、完全な生き方であるということです。つまり、モラル的、社会的、道徳的、経済的、政治的な面を含む、人間の人生のあらゆる面における導きです。これらの面は神からの導きを基としています。それゆえ、ある部分は受け入れ、他の部分は受け入れないといった個人的好みは問題外です。全ては、この基本から成り立たなければなりません。

“それでわれは,凡ての事物を解き明かす啓典をあなたに下し,信者への導きと慈悲,そして吉報としたのである。”(クルアーン1689節)

3つめの理念は、神は人間を彼の代理人として作ったのであり、すべての人間はこの地球で何らかの義務を果たす為に作られたということです。神は人間たちが彼自身が与えたモラルと道徳心に基づいて人々が生きる為に、人間に自由意志を与えました。さらにはイスラームでは物質的発展の機会も設けており、モラル・社会・物質的発展が調和して成されるようにされています。

4つめの理念は、神は人間が代理人としての役割を果たす為に、宇宙のすべてを人間に役立つように作ったということです。クルアーンにはその趣旨を示した多くの節があります。

“神こそは海をあなたがたに従わせられた方で,かれの御命令によって,船はそこを航行し,あなたがたはかれの恩恵(の通商往来)を追求する。それであなたがたは,感謝するであろう。”(クルアーン4512節)

しかし、人間が神によって与えられた資源を好きなように利用したり、悪用したりする支配権を持っているということではありません。むしろクルアーンの多くの節には、人間は神が地球に用意した資源に対して責任を持って利用するように、と書かれてあります。人々は神が与えた良いものを楽しむように奨励されていますが、それは彼の示した限度を知った上でのことです。良いものを楽しむことは、神の道に従い、彼の示した限度を超えなければ罪とはされません。神はこう言いました。

“かれこそは棚を備えた果樹園,また棚のない果樹園を創られる御方であり,またナツメヤシや様々な味の異なった農作物,とオリーブ,ザクロその外同類異種のものをも(創られた御方である)。実が熟したならば食べなさい。収穫の日には,定めの喜捨を供出し,浪費してはならない。本当にかれは,浪費の徒を御愛でになられない。”(クルアーン6141節)

5つめの理念は、死後の世界での清算についてのものです。神は人間に代理人としての役割と資源を与えました。つまり全ての人間は審判の日に、地上での生活を楽しんでいる間どのようにふるまったかということを問われるのです。それは経済活動でも同じことです。神はこう言いました。

“その日あなたがたは,(現を抜かしていた)享楽に就いて,必ず問われるであろう。”(クルアーン1028節)

6つめの理念は、財産の有無は人間の優劣を左右しないということです。貧困や富は神の意思であり、神はかれの限りない公正さと智慧によりこれらのことを決めているのです。

“神は御心に適う者に豊かに糧を与え,また乏しくも授けられる。”(クルアーン1326節)

富は貧困と同じように、神からの試練です。つまり、その富で豪遊するか、宗教で立法化されたように賢く使うか、その富で試されているのです。神は言いました。

“あなたがたの富や子女は,一つの試みに過ぎない。神の御許に(だけ)偉大な報奨はある。”(クルアーン6415節)

地上でこの上ない王権と多くの富と才能を与えられたあと、ソロモンはクルアーンの中でこう言っています。

“これはわたしの主の御恵み。わたしが感謝するか,または恩知らずかを試みられるためです。”(クルアーン2740節)

神はその人がいくら財産を持っているか、容姿や肌の色を見ているわけではなく、彼にとっての栄誉の基準はその人の心にある信仰心なのです。神はこう言っています。

“人びとよ,われは一人の男と一人の女からあなたがたを創り,種族と部族に分けた。これはあなたがたを,互いに知り合うようにさせるためである。神の御許で最も貴い者は,あなたがたの中最も主を畏れる者である。本当に神は,全知にして凡ゆることに通暁なされる。”(クルアーン4913節)

預言者はこう言いました。

“神はあなたの容姿や財産を見ているのではなく、あなたの心と行いを見ているのです。”(サヒーフムスリム)

すでにお察しのように、イスラームにおける経済システムとは、その価値観が全く違うため、他のシステムとは全く異なったものです。資本主義では、そのシステムの本質と価値観から、モラルや道徳よりいくつかの経済システムが先行することがあります。共産主義、社会主義や他の経済システムでも同じことでしょう。この記事で取り挙げられた理念から、イスラームの経済システムでは個人と社会全体の利益の均衡を考慮しつつ、世俗的な利益と精神的な利益のいずれも、そして宇宙の主である神の喜びをえることができるのです。

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