イスラームにおける人権(中):第一〜3条
- より アーイシャ・ステイシー
- 掲載日時 29 Apr 2013
- 編集日時 29 Apr 2013
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イスラームは全人類に与えられた宗教です。イスラームはアラブ人やアジア人、または男性や女性、または裕福な者たち、虐げられた者たちだけに与えられた宗教ではありません。イスラームは全人類に彼らの権利を与えられる宗教であり、生き方なのです。神が私たちを作ったのですから、彼が私たちにとって最良のものを知っているのは当然であり、神は私たちが幸せで安全な生活を送るために必要な知識へのアクセスを与えたのです。
イスラーム教徒はクルアーンや預言者ムハンマド(彼の上に神の慈悲と祝福あれ)の言行によってその知識を得ることができ、シャリーア(イスラーム法)によって確保されています。イスラームは法整備を整え、倫理概念を作り上げ、人々が安全に暮らすといった個人の権利を保護するようにできています。
預言者ムハンマドはこう言いました。「(朝に)起床し、その共同体で自らの安全性を確認し、身体が健康であり、その日の糧がある人は皆、全世界を手にしたようなものです。」(ティルミズィー)
シャリーアは5つの権利を守ります。信仰の権利、生命の保護、知性と心の保護、名誉と家族の保護、そして財産や所有物の保護です。統一された共同体が個人的権利が守られるためのモラルと倫理の基本を確立します。個人の権利はとても重要ですが、共同体の権利を侵害することは許されていません。
世界人権宣言には30か条あります。それは全ての人々の生命と自由を守ろうとします。クルアーンにおける神の言葉や預言者ムハンマドの慣習が十分に含まれてあるこの宣言を守ることは、正しい行動であることに間違いありません。
第一―2条
すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
全人は、人種、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
クルアーンと慣習
クルアーンには尊厳、平等、人間の同胞精神について書かれた節が沢山あります。さらには神は権利と自由は、民族、性別、社会的地位、国籍、言語、肌の色、権力に関わらず与えられるものだと明示しています。
“人びとよ,われは一人の男と一人の女からあなたがたを創り,種族と部族に分けた。これはあなたがたを,互いに知り合うようにさせるためである。アッラーの御許で最も貴い者は,あなたがたの中最も主を畏れる者である。本当にアッラーは,全知にして凡ゆることに通暁なされる。”(クルアーン49章13節)
神は人間を、地球上の代理人として創造しました。人間は動物、野鳥類、魚類よりも上に置かれ、大きな責任を課せられているのです。
“あなたがたは思い起さないのか。アッラーは天にあり地にある凡てのものを,あなたがたの用のために供させ,また外面と内面の恩恵を果されたではないか。”(クルアーン31章20節)
最初の人間であるアダムは人間の父であり、尊厳をもって扱われました。神は彼に人間の魂を吹き込み、彼を自らの手で形作り、天使たちに彼に額づくよう命じました。アダムに栄誉を与えることで全ての人間が尊敬に値すると示しました。またすべての人間がアダムの子孫であり、全人類が兄弟なのです。
“あなたの主が,天使たちに,「われは泥から人間を創ろうとしている。」と仰せられた時を思え。「それでわれが,かれ(人間)を形作り,それに霊を吹き込んだならば,あなたがたは伏してかれに額づきなさい。」”(クルアーン38章71〜72節)
神はクルアーン(49章10節)で信仰者たちは皆兄弟であると述べており、預言者ムハンマドは常に同胞意識を持つことを奨励してきました。彼は、自分の同胞に自分が望むものと同じものを望まない限り、本当の信仰には達してないと言いました1。
預言者ムハンマドが愛すべき神のもとへ帰るときが来たと悟ったとき、最後の説教として知られる、全人類への深く美しい言葉を遺しました。彼は何千人もの信者たちをアラファの山から見つめ、こう言いました。「すべての人間はアダムとイブの子孫であり、アラブ人が非アラブ人に優れているわけでもなければ、非アラブ人がアラブ人より優れているわけでもありません。白人が黒人より優れているわけでもなければ、黒人が白人より優れているわけでもありません。ただ信仰と行動により人々は優れるのです。全てのイスラーム教徒が他のイスラーム教徒たちと同胞であり、イスラーム教徒は一つであり続けるのです。」2
第3条
すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
クルアーンと習わし
“そのことのためにわれはイスラエルの子孫に対し,掟を定めた。人を殺した者,地上で悪を働いたという理由もなく人を殺す者は,全人類を殺したのと同じである。人の生命を救う者は,全人類の生命を救ったのと同じである(と定めた)。”(クルアーン5章32節)
神はクルアーンの中で人間の命が神聖なものだと述べています。正当な理由が無い限り血が流されたり、命が奪われたりしてはなりません。生命の保護はイスラームに含まれたものであり、神に与えられたものなのです。全ての人間が平等に地球上に生き続けるべきです。人間に与えられた命の栄誉と尊厳は最も偉大な贈り物とされています。それは創造主に信託物として与えられたものなのです。私たちにはお互いと自分自身の面倒を見る義務があるのです。神の慈悲に絶望し自殺することは、いかなる理由があっても厳しく禁じられています。身体は不可侵のものであり、亡くなった人の体でさえ厳かに扱われるべきなのです。
“言ってやるがいい。「さて,わたしは主があなたがたに対し禁じられたことを,読誦しよう。かれに何ものでも同位者を配してはならない。両親に孝行であれ。困窮するのを恐れて,あなたがたの子女を殺してはならない。われは,あなたがたもかれらをも養うものである。また公けでも隠れていても,醜い事に近付いてはならない。また,アッラーが神聖化された生命を,権利のため以外には殺害してはならない。このようにかれは命じられた。恐らくあなたがたは理解するであろう。”(クルアーン6章151節)
預言者ムハンマドは彼の最後の説教の中で、イスラームにおける人権の大切さを私たちに思い起こさせています。「ですから命と所有物を神聖な信託物として扱いなさい。返すべきものをその所有者に返しなさい。誰にも傷つけられないように、誰も傷つけないようにしなさい。いつか必ずあなたの主に会い、彼があなたの行動について尋ねるのだということを覚えていなさい。」
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