クルアーンで記述されるイエスの肩書き(後半)「神の言葉」と「神の魂」

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説明: クルアーンの中でのイエスの名前、肩書き、そして記述。その2:イエスに与えられた称号である「言葉」「魂」「慈悲」等についての見解。

  • より IslamReligion.com
  • 掲載日時 17 Dec 2012
  • 編集日時 16 Dec 2012
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(3) 神からの「言葉」

イエスはクルアーンの中の3箇所で、神からの「言葉」と呼ばれています。他のどの預言者も、この称号を与えられたことはありません。

“「…マリアよ,本当にアッラーは直接ご自身の御言葉という吉報をあなたに伝えられる。マリアの子,その名はメシア•イエス…」“(クルアーン3章45節)

“…マリアの子メシア・イエスは,只アッラーの使徒である。マリアに授けられたかれの御言葉であり…”(クルアーン4章171節)

“…アッラーからヨハネの音報をあなたに授ける。その子はアッラーの御言葉の実証者となり…”(クルアーン3章39節)

キリスト教徒はヨハネの福音書の第一章の中で、イエスが言葉(ギリシャ語でロゴス)が体現化されたものだと認識されていると信じています。「祝福の中に御言葉があり、お言葉は神と共にあり、御言葉こそが神です。そしてそのお言葉が人となり、尊厳と真実にあふれ、わたしたちと共に住み‥」

キリスト教における「ロゴス」はイスラームにおける「御言葉」という簡単な解釈とは全く異なります。ギリシャ語のロゴスという考えはおそらく、紀元前6世紀の哲学者ヘラクレイトスまで遡るでしょう。彼は、人間が理論的に考える能力があるということに、広大普遍な過程におけるロゴスが似ていると提示しました。ギリシャ語を話す事ができたユダヤ人哲学者、アレキサンドリアのジュダエス=フィロ(紀元前15年〜紀元後45年)がロゴスとは神と宇宙との仲介者であるとしました。フィロの著書は教会によって保存され、採用され、洗練されたキリスト教哲学に影響を与えました。「ロゴスを使ってイエスを認識することは…初期の教会によって旧約聖書よりも、ギリシャの哲学的思想をもとにして進められました。これは後に初期のキリスト教学者や弁証者たちによって、古代ギリシャ人たちに分かりやすく、キリスト教がどの多神教よりも優れているということを示すために、さらに進められたのです。」

イスラームでは、イエスがなぜ神からの「言葉」なのかはっきりと説明されます。しかしその前に人間の創造について理解していなければなりません。神の能力は万有に影響を及ぼします。神が何かを実行しようとしたとき、例えば誰かに命を与えたり死を与えようとするとき、神はただ一言「あれ」と言うだけで、それは起きるのです。

“かれこそは生を授け,また死を授ける方である。かれが一事を決められそれに対し「有れ。」と仰せになれば,即ち有るのである。”(クルアーン40章68節)

人間の創造の第一歩は、神の意思に加えて、男女の生殖細胞の間で起きる生物学的合体です。イエスは父親無しで生まれてきたので、男性の精子細胞から誕生したのではありません。そのかわり、アダムのように、イエスは神の言葉「有れ。」だけで作られた存在なのです。神はこう言っています。

“イエスはアッラーの御許では,丁度アダムと同じである。かれが泥でかれ(アダム)を創られ,それに「有れ。」と仰せになるとかれは(人間として)存在した。”(クルアーン3章59節)

クルアーンではイエスの誕生について詳しく既述されます。マリアは男性によって妊娠させられたのではありません。クルアーンでは「魂」と呼ばれている天使ガブリエルがイエスの魂を運んで来たのです。その魂は他の人間のように神から作られ、マリアに吹き込まれました。天使を見て、マリアは驚きのあまりこう言いました。

“かの女は言った。「主よ,誰もわたしに触れたことはありません。どうしてあたしに子が出来ましょうか。」”(クルアーン3章47節)

天使はこう答えました。

“「このように,アッラーは御望みのものを御創りになられる。かれが一事を決められ,『有れ。』と仰せになれば即ち有るのである。」”(クルアーン3章47節)

ガブリエルはイエスの魂をマリアに吹き込みました。「またわれは自分の貞節を守ったイムラーンの娘マリア(の体内)に,わが霊を吹き込んだ。」(クルアーン6612節)

つまりイエスは神の言葉「有れ」によって存在したために、神の言葉と呼ばれるのです。クルアーンの他の節ではこう述べられています。

“「マリアに授けられたかれの御言葉であり…”(クルアーン4章171節)

(4) 神からの魂

クルアーンの中では、神は尊厳や栄誉を与えるために創造物に称号を与えることがあります。例えば神はマッカの聖なるモスクのことを、敬意をこめて「わが家」と呼んでいます。神はこう言いました。

“またアブラハムとイスマエルに命じた。「あなたがたはこれをタワーフ(回巡)し,イアテカ―フ(御籠り)し,またルクーウ(立礼)し,サジダ(額ずく)する者たちのために,わが家を清めなさい。」”(クルアーン2章125節)

クルアーンは、イエスを神から与えられた「魂」としています。

“われはかの女にわが霊を吹き込み…”(クルアーン21章91節)

“…かれからの霊である。”(クルアーン4章171節)

“「またわれは自分の貞節を守ったイムラーンの娘マリア(の体内)に,わが霊を吹き込んだ。」”(クルアーン66章12節)

イエスは霊であり、より正しく言うならば神に創られ、神の強力な天使ガブリエルに運ばれ、マリアに吹き込まれた魂だったのです。

“またわれは自分の貞節を守ったイムラーンの娘マリア(の体内)に,わが霊を吹き込んだ。”(クルアーン66章12節)

イエスは、神から引き離されマリアの中に住んだ神の「一部」、「人」、「活動」ではなかったのです。イエスはその神性のために霊と呼ばれたのではなく、尊厳と栄誉からそう呼ばれたのです。

同じように、神はアダムにも彼の霊としての性質を与えています。神は、アダムを創造し、天使たちにアダムへ額ずくよう指示したときにこう言いました。

“それでわれが,かれ(人間)を形作り,それに霊を吹き込んだならば,あなたがたは伏してかれに額ずきなさい。”(クルアーン38章72節)

イエスはクルアーンの中で栄誉を与えられ、他の預言者には与えられなかった称号や記述が与えられていますが、だからといって彼が人間以上の存在であると信じることはできないでしょう。このことは次の節にまとめられています。

“啓典の民よ,宗教のことに就いて法を越えてはならない。またアッラーに就いて真実以外を語ってはならない。マルヤムの子マスィーフ・イーサーは,只アッラーの使徒である。マルヤムに授けられたかれの御言葉であり,かれからの霊である。だからアッラーとその使徒たちを信じなさい。「三(位)」などと言ってはならない。止めなさい。それがあなたがたのためになる。誠にアッラーは唯―の神であられる。かれに讃えあれ。かれに,何で子があろう。天にあり,地にある凡てのものは,アッラーの有である。管理者としてアッラーは万全であられる。”(クルアーン4章171節)

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