ヨセフの物語(4/7):美貌と試練

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説明: ヨセフは誘惑という大きな試練に直面し、神のご加護を求めます。

  • より アーイシャ・ステイシー
  • 掲載日時 20 May 2013
  • 編集日時 20 May 2013
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The_Story_of_Joseph_(part_4_of_6)_001.jpg裏切られ、奴隷として売り払われたにも関わらず、預言者ヤコブの息子ヨセフはエジプトの上流階級の家に住むことになりました。彼の主人となったエジプト主席大臣のアズィーズはヨセフへの親切な処遇を約束し、ヨセフはその見返りに彼への忠誠を約束しました。彼は自分を冷遇や虐待のない状況へと改善してくれた神に感謝しました。ヨセフの状況は、井戸の底へと転落して鉄の足かせをはめられていた状態から、裕福な暮らしへと改善しました。ヨセフの人生は曲がりくねった道のようでしたが、アズィーズの家で彼は成長することになりました。

イスラーム学者たちは、兄弟たちに裏切られた時、ヨセフはおよそ14歳であったと推測しています。最も尊敬されているクルアーン学者の一人であるイマーム・イブン・カスィールは、その著書「諸預言者物語」において、ヨセフはおそらく、アズィーズの妻の付き添い人として奉公していたと推測しています。イブン・カスィールは彼が忠実、丁寧かつ卓越した美貌を備えていたと述べています。また、預言者ムハンマドはヨセフのことを「あらゆる美の半分を体現する者」1と呼んでいます。ヨセフは成長するにつれ、神によって知恵と優れた判断力を授けられ、それを認めた主席大臣アズィーズは家事の全責任を彼に任せました。アズィーズの妻を含む、彼を知るすべての人々は、彼の美貌、誠実さ、崇高さを認めました。彼女はヨセフが美青年へと成長するにつれ、彼に惹かれるようになりました。

試練

“かれの起居する家の夫人が、かれの心を惑わそうとして、戸を閉めて言った。「さあ、あなたおいでなさい。」”(クルアーン12:23)

アズィーズの美しい妻は戸を閉め、ヨセフを誘惑して言い寄りましたが、彼はそれを拒み、神のご加護を求めました。ヨセフは彼の主人を裏切ったりはしないと告げました。ヨセフは言いました。「彼は私に良くし、敬意をもって接してくれました。」ヨセフは悪行を犯す者が、決して成功しないことを知っていました。アズィーズの妻は悪い欲望を持ち、それを実行しようとしましたが、ヨセフはその誘惑を振り切り、逃げようとしました。預言者ムハンマドは、もしも私たちが悪行を犯すという意図を持ち、それを実行したのであれば、神はそれを一つの悪行として記録することを告げています。しかし、悪行を犯すという意図を持ち、それを実行に移さなかったのであれば、神はそれを一つの善行として記録されるとも述べました

ヨセフは主人の妻による誘惑を頭の中から払いのけ、神へのご加護を求め、その状況から脱出しようと試みました。おそらくヨセフは、数年に渡って彼女から言い寄られていたのかもしれません。エジプト社会の最高階層出身の裕福で美しい婦人は、ヨセフのそうした態度にひるみませんでした。彼女の美貌、地位、そして富は、大半と男性が彼女の誘惑に容易に負ける程のものでした。ヨセフは普通の男性ではなかったため、彼が直ちに神のご加護を求めると、神はそれに応えたのです。

“確かにかの女は、かれに求めたのである。主の明証を見なかったならば、かれもかの女を求めたであろう。このようにしてわれは、かれから罪悪と醜行を遠ざけた。本当にかれは、謙虚で純真な(選ばれた)わがしもベの一人である。”(クルアーン12:24)

ヨセフは審判の日、神によって日陰に入れられる者たちの長の一人となります。預言者ムハンマドによると、審判の日の熱波は激しいものとなり、人々は神によって審判が下されるのを待つまでの間、恐怖におののくとされます。しかし、一部の人々はこの過酷な熱波から遮られるのです。それらの中に、美しく魅力的な女性の誘惑を神にご加護を求めることによって断る者たちが含まれるのです3

ヨセフによる拒絶は、彼女の欲望をさらに燃え立たせただけでした。彼が逃げようとすると、彼女は扉まで追いかけたのです。アズィーズの妻は彼の衣服を掴み、それを背中から引き裂きました。次の瞬間、扉が開いて彼女の夫が入ってきました。彼女は躊躇うこともなく、直ちに状況を自分の有利な方に持って行こうとして、こう叫んだのです。「あなたの妻に対して悪だくみをした者に対する処罰は何ですか?」これは明確な嘘でしたが、彼女の口からはそれが容易に出てきてヨセフの収監を示唆したのです。ヨセフは反論して言いました。“奥様こそ、わたしの意に反して、わたしを御求めになりました。”(クルアーン12:26)すると彼らの親族が訪れてこの問題の解決のためにこう言いました。

“もしかれの服が前から裂けていれば、奥様が真実で、かれは嘘つきです。だがかれの服が、もし後ろから裂けていれば、奥さまが嘘を御付きになったので、かれは真実であります。”(クルアーン12:26−27)

もし彼の衣服が後ろから破れていたのであれば、それは彼が逃げようとし、彼女が彼を追いかけて背後から衣服を掴み、破いた証拠なのです。そしてそれが実際に起きたことでした。その証拠は揺るぎないものだったのです。主席大臣は怒りを隠せませんでしたが、この事件を隠蔽することの方により気を揉みました。彼はその名声と地位にスキャンダルによる汚れが付くことを望みませんでした。彼はヨセフに対し、事件については沈黙すること、そして妻に対しては神の許しを乞うよう告げました。これで事件は終わりを見せるべきでしたが、上流階級において一般的であるように、人々は時間を持て余していたため、友人や知人、隣人や親戚の噂話に花を咲かせていたのです。

街の女性たち

街の女性たちはアズィーズの妻と彼女の奴隷ヨセフに対する熱について話すようになりました。噂は広まり、女性たちはなぜ彼女が奴隷などに欲望を抱き、自らの名声に泥を塗るようなことをしたのかと思っていました。アズィーズの妻は彼女らを思い知らせるため、いかにヨセフが美しく魅力的かを見せつけたいと願いました。彼女は彼女らを昼食会へと招き、豪勢な食卓を用意し、食事用のナイフを配りました。その部屋はおそらく、噂の奴隷がどれ程の者なのかという期待と、自分たちはアズィーズの妻よりも優れていると思い込む女性たちの、緊迫した空気が張り詰めていたことでしょう。女性たちが食事を始めたとき、ヨセフが入室しました。彼女らは一斉に目を上げ、彼の美貌を目にすると手にナイフを持っていたことを忘れてしまいました。女性たちは彼の容貌に魅了されるあまり、自分たちの手をナイフで傷つけてしまう程でした。彼女らはヨセフのことを高貴な天使のようだと述べました。アズィーズの妻は高慢かつ自身に満ちた声で来客にこう言いました。

“この人よ、あなたがたがわたしを謗るのは。確かにわたしが引っ張ってかれに求めたの。でもかれは貞節を守ったのよ。でも(今度)もしかれがわたしの命令を守らないなら、きっと投獄されて、汚名を被るでしょう。”(クルアーン12:32)

ヨセフは再び、完全なる謙遜さと共に神へと向き合い、もし自分が女性たちの欲望に屈するくらいなら、投獄されてしまう方がより好ましいと述べました。彼の主は、その祈願に答えます。



Footnotes:

1 サヒーフ・ムスリム

 サヒーフ・ブハーリー

3 同上

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