イエスの母マリア(その2):イエスの生誕
説明: この記事ではマリアが預言者ザカリアのもとに来てから、何が起こったかを説明します。天使ガブリエルがどのように、この特別な幼子の誕生を知らせたか、マリアがどのようにこの妊娠に耐えたか、そしてイエスの誕生の際に起きたいくつかの奇跡を見ていきます。
- より アーイシャ・ステイシー
- 掲載日時 25 Jul 2011
- 編集日時 25 Jul 2011
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全てのムスリムから敬愛され、純潔で敬虔な女性として知られるイエスの母マリアは、全ての女性たちの中から選ばれた女性です。イスラームでは、イエスが三位一体の一部であるというキリスト教の教義を否定し、イエスやその母マリアが崇拝の対象であるという考えを断固として否定します。クルアーンには、神以外に崇拝の対象はないとはっきりと述べられています。
“それがアッラー,あなたがたの主である。かれの外に神はないのである。凡てのものの創造者である。だからかれに仕えなさい。”(クルアーン6:102)
しかしムスリムはイエスも含め全ての預言者を信じ愛するべきであり、イエスはイスラームの教義の中で特別な位置にあります。彼の母イエスは誇り高い女性です。若いときから、エルサレムの祈りの家に行き、神を崇拝し仕えるために、その人生を捧げたのです。
マリア、イエスの誕生の知らせを聞く。
マリアが一人きりで籠っていたときに、男性が彼女の前に現れました。神はこう言いました:
“かの女はかれらから(身をさえぎる)幕を垂れた。その時われはわが聖霊(ガブリエル)を遣わした。かれは1人の立派な人間の姿でかの女の前に現われた。”(クルアーン19:17)
マリアは恐れ、逃げようとしました。彼女は神にこう言いました:
“かの女は言った。「あなた(ジブリール)に対して慈悲深き御方の御加護を祈ります。もしあなたが,主を畏れておられるならば(わたしに近寄らないで下さい)。」かれは言った。「わたしは,あなたの主から遣わされた使徒に過ぎない。清純な息子をあなたに授ける(知らせの)ために。」”(クルアーン19:18−19)
マリアはこの言葉に驚き、困惑しました。彼女は未婚でしたし、純潔な処女だったからです。彼女は怪訝そうに、こう尋ねました:
“かの女は言った。「主よ,誰もわたしに触れたことはありません。どうしてわたしに子が出来ましょうか。」かれ(天使)は言った。「このように,アッラーは御望みのものを御創りになられる。かれが一事を決められ,『有れ。』と仰せになれば即ち有るのである。」”(クルアーン3:47)
神は土くれから、母や父なしにアダムを創りました。神はアダムの肋骨からイブを創り、そしてイエスは父親なしに母親のみ、つまり敬虔な処女マリアを通して創りました。神は、ただ「あれ」というだけで、そのものを存在させ、ガブリエルを通してイエスの魂をマリアに吹き込んだのです。
“またわれは自分の貞節を守ったイムラーンの娘マルヤム(の体内)に,わが霊を吹き込んだ。1かの女は,主の御言葉とその啓典を実証する,”(クルアーン66:12)
クルアーンと聖書の中には、マリアに関する物語において、沢山の共通点があります。しかし、マリアが婚約もしくは結婚していたという見方は、イスラームにおいて否定されています。時が経ち、マリアは周りが何と言うかと考え、恐ろしくなりました。マリアは、一体どうやって周りの人々が、彼女が処女であるということを信じてくれるだろうと思いました。多くの学者は、マリアの妊娠期間は通常のものだったと考えています。2そしてついに出産のときが来たとき、マリアはエルサレムを出る決心をし、ベツレヘムへと向かいました。マリアは神の言葉を覚えてはいたでしょうし、彼女の信仰は強く揺るぎないものでしたが、彼女は不安でした。ガブリエルは彼女にこう伝えました。
“また天使たちがこう言った時を思え。「マルヤムよ,本当にアッラーは直接ご自身の御言葉で,あなたに吉報を伝えられる。マルヤムの子,その名はメサイアイエス,かれは現世でも来世でも高い栄誉を得,また(アッラーの)側近の一人であろう。”(クルアーン3:45)
イエスの誕生
陣痛のため、彼女はナツメヤシの木の幹につかまり、苦しみの中こう叫びました:
“「ああ,こんなことになる前に,わたしは亡きものになり,忘却の中に消えたかった。」”(クルアーン19:23)
マリアはそのナツメヤシの木のもとで、イエスを産みました。彼女は出産のあと、疲れ果て、苦しみと恐れに満ちあふれていましたが、その中で彼女に対する声を聞きました。
“その時(声があって)かの女を下の方から呼んだ。「悲しんではならない。主はあなたの足もとに小川を創られた。またナツメヤシの幹を,あなたの方に揺り動かせ。新鮮な熟したナツメヤシの実が落ちてこよう。食べ且つ飲んで,あなたの目を冷しなさい。”(クルアーン19:24)
神はマリアに、彼女が座っていた場所から川を流し、彼女に水を与えました。神はまた、彼女に食べ物も与えました。彼女はただナツメヤシの木の幹を揺り動かさなければならないだけでした。マリアは恐れおびえており、疲れていました。出産の直後に、どうやって大きなナツメヤシの幹を揺り動かすことができたのでしょう?しかし神はマリアに糧を与え続けたのです。
その次に起きたことこそまさに奇跡であり、人々が教訓を得られるものでした。マリアは、ナツメヤシの木を揺り動かす必要はなかったのです。それは不可能なことでした。彼女はただそうしようと努めなければならないだけだったのです。彼女が神の命令に従おうとすると、新鮮な熟れたナツメヤシが落ちてきました、神はマリアにこう仰いました: “食べ且つ飲んで,あなたの目を冷しなさい。”(クルアーン19:26)
マリアは彼女の赤ん坊を連れて、家族のもとへ戻らなければいけませんでした。もちろん彼女は怯えていましたが、神はそのことをよく知っていました。そのため神は、彼女に口をきかないよう指示しました。彼女が突然赤ん坊の母親になったということを、マリアが自ら伝えることは不可能だったのでしょう。それに彼女は未婚だったため、人々は彼女のことを信じなかったはずです。神はこう仰いました:
“そしてもし誰かを見たならば,『わたしは慈悲深き主に,斎戒の約束をしました。それで今日は,誰とも御話いたしません。』と言ってやるがいい。」”(クルアーン19:26)
マリアは赤ん坊とともに人々のもとへ戻りました。彼らはすぐに彼女を責め立て、「一体何をしたのだ?あなたは良い家柄の出だし、あなたの両親は敬虔であったのに!」と叫びました。
神の指示通り、マリアは何もしゃべりませんでした。彼女はただ腕に抱いている赤ん坊を指差しました。するとマリアの子イエスが、話したのです。新生児であるイエス、神の預言者が最初の奇跡を起こしたのでした。神の許しのもと、彼はこう言いました。
“その時)かれ(息子)は言った。「わたしは,本当にアッラーのしもベです。かれは啓典をわたしに与え,またわたしを預言者になされました。またかれは,わたしが何処にいようとも祝福を与えます。また生命のある限り礼拝を捧げ,喜捨をするよう,わたしに御命じになりました。またわたしの母に孝養を尽くさせ,高慢な恵まれない者になされませんでした。またわたしの出生の日,死去の日,復活の日に,わたしの上に平安がありますように。」そのこと(イエスがマリアの子であること)に就いて,かれら(ユダヤ教徒,キリスト教徒)は疑っているが本当に真実そのものである。”(クルアーン19:30〜34)
マリアはクルアーンの中でスィッディーカ(真実を述べる者)と呼ばれていますが、アラビア語のスィッディーカはただ真実を語るというだけの意味ではありません。この言葉はその敬虔さにおいて高いレベルに到達した者を指します。それは自分自身やまわりの人々に対してだけでなく、神に対して正直な人のことなのです。マリアは神との約束を守り、神に全身全霊で仕えました。彼女は、敬虔で、純潔で、献身的でした。彼女は、すべての女性の中からイエスの母になり、イムラーンの娘になるよう選ばれた女性だったのです。
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