ノアの物語(3/3):洪水

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説明: やがて方舟はとある場所に乗り上げ、そこに乗りこまなかった人々は絶滅の運命を辿りました。

  • より アーイシャ・ステイシー (© 2010 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 15 Feb 2010
  • 編集日時 15 Feb 2010
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信仰者たちは、今日のムスリムたちがあらゆる物事を始める際にそうするのと同様に、神の御名において方舟に乗り込みました。

“アッラーの御名によって、これに乗れ。航行にも停泊にもそれによれ。本当に私の主は、寛容にして慈悲深くあられる。”(聖クルアーン 11:41)

ノアは厚板からリベットに至るまで神による指示通りに方舟を建設し、それは信仰者たちを大雨や浸水から守りました。すると地球の内部は変動を見せ、海底は爆発的に上昇し、地上に大津波が押し寄せました。あらゆるものを水の中に沈めた一連の津波は山ほども大きく、それは方舟を持ち上げ、方舟は大海に投げ込まれたマッチ箱のようにか弱いものに見えました。そこに乗り込んでいた信仰者たちは神に対する真の信仰を持っていたため、船の木材による構造にも関わらず、彼らは安全を確信していました。

ノアは方舟の中から、彼の息子の一人が洪水から逃げ惑っているのを目にしました。ノアは息子に不信仰者たちを捨て、方舟に乗り込むよう叫び求めました。しかし彼の息子は頭から現世的な考え方を捨てられず、心から神を信じることが出来なかったのです。彼は山へ逃げると答えましたが、大津波が山をも飲み込むとは思ってもいませんでした。ノアはこう言って、息子に頼みました:“神のご慈悲以外に、この日からおまえを救うものはないのだぞ!”。息子は拒否し、溺れてしまいました。

“その時ノアは(皆から)離れていた彼の息子に叫んで言った。「息子よ、私と一緒に乗れ。不信者たちと一緒にいてはならない。」息子は(答えて)言った。「私は山に避難しよう。それは(洪)水から救うであろう。」彼(ノア)は言った。「今日はアッラーの御命令によってかれの慈悲に浴する者の他は、何者も救われない。」その時二人の間に波が来て、息子は溺れる者の一人となった。”(聖クルアーン 11:42−43)

洪水の終結

“「大地よ、水を飲み込め。天よ、(雨を)降らすことを止めなさい。」水は引いて、事態は治まり、(舟は)ジューディー山上に乗り上げた。また仰せられた。「不義を行う民を追い払え。」”(聖クルアーン 11:44)

イスラームではキリスト教やユダヤ教の伝承と異なり、水が引いたかどうかを調べるため、ノアが鳥(カラスまたは鳩)を放したかどうかには触れられていません。神の命令によって雨は止んだのであり、水の氾濫は収まったのです。静寂が戻り、大陽は再び輝き始めました。洪水は地上における偶像崇拝と不信仰者を一掃しました。神を信仰しない者は、一人として地上に残りませんでした。大地は水を吸い込み、方舟はジューディー山(現在のトルコに存在すると見なされます。)の上に留まりました。

ノアは預言者であり人類の指導者でしたが、彼は同時に父親でもありました。彼は悲しみに打ちひしがれ、神に向かいこう訴えました:

“主よ、私の息子は(わが)家の一員です。あなたの約束は本当に真実で、あなたは裁決に最も優れた御方であられます。”(聖クルアーン 11:45)

ノアは、彼の家族は守られるという神の約束を覚えていました。ノアは神の約束を疑った訳ではありませんでしたが、彼はそれを理解したいと考えていました。従って神はノアに教訓を示したのです。

私たちは人間として、特定の単語に特定の意味を関連付けますが、神はたびたび、それらに更なる包括的意味を与えます。例えば礼拝という(アラビア語の)単語は、元来神に祈願することを意味していましたが、イスラームの登場後、そこに新しい意味が与えられました。それは一日五回の儀礼としての礼拝を示す単語になったのです。私たちが家族という単語を使う時、それを血縁関係者であると考えますが、ノアが神に嘆願した時には、彼は息子が家族であるとしたのです。しかし神はノアに対し、彼の息子は不誠実であったゆえ、彼の家族ではないとしました。真の家族とは、神を信じる誠実な者たちなのです。

“かれは仰せられた。「ノアよ、彼は本当に汝の家族ではない。彼の行いは正しくない。汝の知らないことに就いて、われに求めてはならない。われは汝が無知な者とならないよう戒める。」”(聖クルアーン 11:46)

ノアは理解してこう言いました:

“主よ、本当に私が知りもしないことに就いて、あなたに請い求めないよう、御赦しを願います。あなたが私を御赦しになり、慈悲を与えられなければ、私はきっと、失敗者の仲間になるでしょう。”(聖クルアーン 11:47)

ノアは動物、鳥や昆虫を放し、それらは大地を散り散りに広がりました。ノアと彼の家族(信仰者たち)は下船すると、ノアは跪き、頭を大地に付けました。ここで、クルアーンと預言者ムハンマドによる伝承におけるノアの物語は終了します。私たちは彼と彼の人々に関してこれ以上の知識がありませんし、その後何が起こったのかも知り得ません。一つだけ分かっていることは、ノアがその死の間際に息子たちを引き寄せて、唯一にして全宇宙を持続させる者である神を崇拝するよう呼びかけたことです。

預言者ムハンマドはこう述べています:

“神の使徒ノアの死が近づいた時、彼は息子たちに忠告をした:‘本当に、私はあなた方へ重要な助言を与え、二つのことを命じ、そして二つのことを警告する。私はあなた方が、神以外に崇拝に値するものはないと信じるよう命じる。もしも七層の天と大地が合わされ、秤の片方に乗せられ、もう片方に“神以外に崇拝に値するものはない”という言葉が乗せられたとしても、後者の方がその重さにおいて前者に優るのだ。私は神に同位者を配すること、そして高慢であることを警告する。(サヒーフ・アル=ブハーリー)

過去、ノアの人々の大半は彼の教えを拒否しましたが、その教えは現在でも、ムスリムたちの心と魂に受け継がれています。ノアが死の間際、彼の息子たちに伝えた心地よく響く言葉、そして救いへの希望は、ムスリムの信仰として今なお残り、彼の神に対する姿勢を確証します。預言者ムハンマド(神の慈悲と祝福あれ)も同様に、神の信仰者に対する契約に関して述べています:“もし我々が唯一の神以外の神々を崇拝しないのであれば、我々が天国に入るのを神は拒まれないであろう。”

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