正直さの徳(前半):正直者の地位とその報奨

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説明: この記事の説明:イスラームにおける正直さ。そしてその命令と、それを実践する者の報奨について。

  • より AbdurRahman Mahdi (ゥ 2010 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 22 Feb 2010
  • 編集日時 02 Jan 2023
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“あなた方信仰する者たちよ、神を畏れ、(言行の)誠実な者と一緒にいなさい。”(クルアーン9:119)

The_Virtue_of_Truthfulness_(part_1_of_2)_001.jpg人に正直者の定義を聞けば、その答えはおそらく正直な発言に関することだけに限定されるでしょう。しかしイスラームは、正直さが発言だけには留まらないと説きます。つまりイスラームにおける正直さとは、外面と内面、意図と行為、信仰と発言、そして実践と教義の一致を意味するのです。ゆえに正直さは正しいムスリムの性格の基礎であり、その徳行の出発点なのです。

偉大なる賢者かつイスラーム学者であるイブン・アル=カイイムは、次のように述べています:“正直さは最も重要な基盤であり、そこから神の道を歩む者の様々な基盤が芽生えるのである。そしてその正しい道を歩まなければ、その人物の宿命は破滅なのである。そしてそこにおいて偽善者と信仰者、また楽園と火獄の住民が判別される。それは地上における神の剣である:それは触れるもの全てを切り裂き、全ての虚偽を捕らえ、征服する:誰であれそれを有する者は敗北を知らない;そして誰であれそれを語る者は、その言葉によって敵対者に対する勝利をもたらす。それは所業の本質そのものであり、精神的状態の源泉であり、人が危険な状況の中であれ勇敢に立ち向かうことを可能にさせ、また最も荘厳なる御方へと続く扉を開けるのである。それはイスラームがその上に成り立つ基礎であり、確信を打ち立てる中心的支柱であり、預言者の地位の次に来る地位なのである。”1

正直さを実践することにより、人は自身を向上させ、それによって正しい人生を歩みます。そしてそれによって称賛に値する高みに到達し、人々の、そして神の御前において高い位階を獲得するのです。預言者ムハンマド(彼に神の慈悲と祝福あれ)はこう言っています:

“私はあなたが正直であることを命じる。実に正直さは誠実さへつながり、実に誠実さは楽園へとつながるのである。人は正直であり続け、正直者であると神に記録されるまで正しいことに努力し続けるのである。そして虚偽に用心しなさい。実に虚偽は罪へとつながり、罪は業火につながるのである。人は嘘をつき続け、嘘つきであると神に記録されるまで嘘をつき続けるのである。”(サヒーフ・ムスリム)

従って正直さとは、人の性質と魂の中に埋め込まれるまで養い続けるべきものなのであり、そうすることでその人物の性格に反映されるべきものなのです。預言者ムハンマドの従兄弟であり婿でもあるアリー・ブン・アビー・ターリブは、現世において人々に対し正直であることによって得られる報いとしての良い効果について言及しています:

“誰であれ次の三つのことを人々に対して行なう者には、人々が彼にもその三つのことをもたららしてくれるであろう:つまり人々に語るとき正直であり、また人々から何かを託された時には裏切らず、そして人々に約束した時にはそれを果たすことである。もし彼がこれらを行なうのであれば、人々の心は彼を愛し、彼らの舌は彼を称え、彼らは彼の援助にやって来るであろう。”2

一方従順な者―正直さを実践する者―は来世においては啓示で言及されているように、神の恩寵と慈悲により最も幸福な魂の者たちと共に、楽園の住処を与えられるのです。

“神と使徒に従う者は、神が恩恵を施された預言者たち、誠実な者たち、殉教者たちと正義の人々の仲間となる。これらは何と立派な仲間であることよ。”(クルアーン4:69)

事実、正直さは全ての預言者たちが本質的に有していた要素でした。クルアーンは私たちにこう述べます:

“またこの啓典の中で、アブラハム(の物語)を述べよ。本当に彼は正直者であり預言者であった。”(クルアーン19:41)

“またイシュマエルのことを、この啓典の中で述べよ。本当に彼は約束したことに忠実で、使徒であり預言者であった。”(クルアーン19:54)

“またエノックのことを、この啓典の中で述べよ。彼は正直な人物であり預言者であった。”(クルアーン19:56)

また私たちは、預言者ヨセフが投獄されていた際、彼がある男からこう呼びかけられていたことをクルアーンの中に見出すことが出来ます:

“「ユースフよ、誠実な人よ…”(クルアーン12:46)

…またイエスの母マリアは、神によって正直な者であると宣言されています:

“マリアの子メシア(イエス)は、一人の使徒に過ぎない。彼の以前にも使徒たちがあって、逝ったのである。彼の母は正直者、信仰者であった…”(クルアーン5:75)

…そしてクルアーンの中でたびたび言及されている使徒の教友たち、“信仰者たち”は、正直者という高い地位に達しているのです:

“本当に信仰者とは一途に神とその使徒を信じる者たちで、疑いを持つことなく、神の道のために、財産と生命とを捧げて奮闘努力する者である。これらの者こそ真の信仰者である。」(クルアーン49:15)

従って正しい道を歩む者とは、神の創造において最も誠実な者としての道を歩むことなのです。徳行の中でも最も高潔であるこの正直さを私たちの生活の中で実践するにあたり、神による人類最後の使徒である預言者ムハンマドは正直さの徳として、いえ、正直であることの訓令として、何が必要とされるかを細部に渡って説明しているのです。神の使徒による膨大な言葉の一つとして、彼の次のような請願があります:

“私に次の六つのことを保障すれば、私はあなたに楽園を保障する:会話において真実を述べ、約束を果たし、信頼された時は忠実であり、(不貞から)陰部を守り、(凝視せずに)目を伏せ、両手を(他者への危害から)抑えなさい。”3

そして神は、使徒によるこれらの言葉の真実性を、かれ自身の御言葉によって確証されているのです:

“本当にムスリムの男と女、信仰する男と女、献身的な男と女、正直な男と女、堅忍な男と女、謙虚な男と女、施しをする男と女、斎戒(断食)する男と女、貞節な男と女、神を多く唱念する男と女、これらの者のために、神は罪を赦し、偉大な報奨を準備なされる。”(クルアーン 33:35)



Footnotes:

1 マダーリジュ・アッ=サーリキーン

2 イブン・ムフリフ、アーダーブ・アッ=シャリーア。

3アッ=サヒーハに収録されているウバーダによる伝承。

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