イエスの再臨(5/5)

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説明: ゴグとマゴグの最後、その後に訪れる平和と豊潤、戦争のない世界、神の真実の宗教の普遍化、そしてイエスの死について。

  • より ジェレミー・ボルター
  • 掲載日時 28 May 2012
  • 編集日時 28 May 2012
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ゴグとマゴグの最後

ゴグとマゴグが遂にムスリムたちを要塞や避難地に追い詰め、空から落ちてきた彼らの矢が血まみれになっているのを見ると、彼らはムスリムたちに対する勝利を確信します。しかし、その夜になると、次の事件が起きるのです。

「イエスと教友たちは神の助けを求め、神は彼ら(ゴグとマゴグ)に対して、彼らの首元を攻撃する蠕虫を遣わす。そして翌朝、彼らは全滅するのである。」(サヒーフ・ムスリム)

大群が全滅したことを知らないムスリムたちは、要塞の中から外にいる敵の様子を伺うための偵察隊の志願者を呼びかけます。死を覚悟した志願者たちは、敵が全滅しているのを発見すると、このように呼びかけます。「ムスリムたちよ!喜ぶのだ!神は我々に勝利を授けてくださったぞ!」1

イエスとトゥール山に避難をした人々が山を降りると、彼らも同様の光景を目にしますが、彼らの周囲の土地は、見渡す限りの密集した腐乱死体と、その強烈な死臭が漂っています。それは非常に不快かつ健康への悪影響もあることから、イエスは再び神に祈り、神は巨大な鳥を遣わしそれらの死体を運び去り2、太陽の昇る方角の海に投げ込みます。

その後

その後、神は40日間に渡って、すべてに降り注ぐ豪雨を降らせます。洪水とは異なり、その降雨は有益なものとなります。

「地上は鏡のようになるまで洗い流されます。それから神は地球に命じます。『果実を実らせ、祝福を回復せよ。』」(サヒーフ・ムスリム)

ムスリムは再び家畜を放牧させ、そこにある牧草は過去のどんな牧草よりも家畜をよく肥えさせます4。果樹園からはかつて見たこともないような大きさと質の果物が採れるようになり、乳牛からは豊富な良質の乳が出て、誰一人その欠乏をみることはありません5

ゴグとマゴグの襲来の益とは、不信仰者の根絶による信仰者国家の樹立、そして彼らの襲来と全滅による死骸を肥料とし、そこは豊潤な土地となることです。富は有り余るようになり、人々は喜捨の対象を見つけることが出来なくなる程です6。アブー・フライラは、預言者(神の慈悲と祝福あれ)がこのように述べたことを報告しています。

「…そしてジズヤはなくなるであろう。金銭は誰一人としてそれを(喜捨として)受け取らない程に豊富となるであろう。」(サヒーフ・ブハーリー)

損害となるのは男性人口の減少であり、それは男女比に不均衡をもたらします。おそらくその原因は戦死者から来るもので、第二次世界大戦後でも見られたように、女性人口は男性のそれをはるかに上回ることになります7

イエスの統治と彼の死

イエス(神の平安あれ)による統治は、ムハンマドのもたらした法に基づいたものとなります。このことは、神がすべての預言者たちに誓約させたことと一致します。クルアーンにおいてこのように述べられています。

“神が預言者たちと約束された時を思え。(かれは仰せられた)。「われは啓典と英知とをあなたがたに授ける。その後で、あなたがたが持つ(啓典)を実証するため、一人の使徒があなたがたのところに来るであろう。(その時)あなたがたは彼を信じ、彼を助けなさい。」かれは仰せられた。「あなたがたはこれを承知するか。このことについて、われと固い約束をするか」彼らは申し上げた、「承知しました」「それならあなたがたは証言しなさい。われもあなたがたと共に立証しよう。」と仰せられた。”(クルアーン3:81)

したがってイエスの統治は神との約束に準じたものとなり、これはアブー・フライラによって報告された預言者による説明によって裏付けられています。預言者はこう述べています。

神の使徒は言った。「マリアの子があなたがたの間に降臨し、あなたがたを先導するとき、どうするというのか?」

教友の一人、イブン・アブー・スィーブは尋ねました。

彼が「あなたがたを先導する」とはどういう意味でしょうか?

アブー・フライラは答えています。

「彼はあなたの主―かれは至高にして称賛される御方―の書と、あなたの使徒の慣習に基いた先導をするのです。」8

彼の統治によって人々の間にはお互いへの敬意と平和、そして繁栄がもたらされます。別のハディースでアブー・フライラはこのように述べています。

「遺恨、お互いへの敵意、嫉妬は消え失せ、彼(イエス)が人々を集めて富を分配しようとしても、誰も受け取ろうとしないでしょう。」(サヒーフ・ブハーリー)

少なくとも7年間続く人々の間の憎しみの消失は、相対的なものではなく、絶対的なものです。その間、人々はお互いに怒ることもなくなり9、彼らの間では「平和」の挨拶が交わされます。事実、信心深さと敬虔さは各人にとって必要なこととなるのです。

「(礼拝における)神への一回の跪礼は、世界とその中にあるすべてのものに勝るのである。」(サヒーフ・ブハーリー)

イエス自身はイスラームのシャリーアのみを用いて統治するだけでなく、彼はすべてのイスラームの柱を完遂させます。預言者ムハンマドは述べています。

「私の魂がその御手に委ねられている御方に誓って。マリアの子はハッジかウムラ10、または双方において、ラウハの谷(マディーナ近郊の谷)で神の御名を唱えるであろう。」(サヒーフ・ムスリム)

そして彼の再臨から40年が過ぎると彼は死に、ムスリムは彼の葬儀の礼拝を捧げます11。そしてこの瞬間こそは、神がクルアーンにおいて言及されている箇所なのです。

“啓典の民の中、彼の死ぬ前にしっかり彼を信じる者は一人もいなかった。”(クルアーン4:159)

神の御意であれば、すべての人々は唯一の啓典を信じるようになることでしょう。

結論

以上から分かるように、イエスの再臨は非常に壮大な出来事となり、実に特別な事件が次々と起こるため、それらをおとぎ話のように感じる方もいるかもしれません。イエスは世界中が神の助けを必要とする時代にやって来ます。この助けはイエスと共にもたらされますが、その時代における試練はあまりにも大きすぎるために彼自身でさえ直面することが出来ず、追従者たちと山の山頂へと避難しなければなない程です。そのとき、ただ神のみが人類を救うことになるのです。神によるこの助けは、人類にとっての最大の試練に終止符を打つためにもたらされるだけでなく、神の真実を明白にさせ、偽メシア、ゴグ・マゴグなどといったすべての虚偽の幕を閉じ、人は皆、真の神の宗教のもとに一致団結することになるのです。



Footnotes:

1 ムスナド・アフマド

2 サヒーフ・ムスリム

4 ムスナド・アフマド

5 サヒーフ・ムスリム

6 同上

7 男性人口の減少は非常に深刻だったことから、1948年にミュンヘンで開かれた国際青少年会議では、女性人口の過剰分を補うため、一夫多妻制の採用がその対策として提唱されたほどです。

8 サヒーフ・ムスリム

9 サヒーフ・ムスリム

10 これらはマッカの聖殿で行う大小の巡礼の名称であり、前者はイスラームの柱の一つとして義務とされる儀礼です。

11 アブー・フライラは預言者(神の慈悲と祝福あれ)が次のように述べたことを伝えています。「彼(イエス)は地上で40年間生き、それから死ぬであろう。ムスリムたちは彼の葬儀の礼拝をするであろう。」(ムスナド・アフマド、アブー・ダーウード)

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