なぜイスラームでは豚肉が禁じられているのか(前半):神の法に従うということ
説明: 神は私たちがすべての善き合法なものを享受することをお許しになり、私たちの信仰・健康・幸福・精神にとって有害なものを禁じられます。
- より アーイシャ・ステイシー
- 掲載日時 31 Mar 2014
- 編集日時 27 Jul 2015
- プリント数: 46
- 観覧数: 25,688 (日平均: 7)
- 評価者: 0
- メール数: 0
- コメント日時: 0
人生の包括的な生き方であるイスラームは、人間の構造として重複する身体的・精神的・感情的な健康を(それぞれには異なる側面があるものの)考慮に入れます。神は、私たちが神を信頼することこそが現世・来世での成功を達成するための道であるということを説明するため、導きの書であるクルアーン、そして預言者と使徒の模範を私たちにお与えになりました。
ムスリムは神を崇拝し、神の法と規定を守り、神のご満悦を得るための努力に一生を費やします。それらの規定の一つには、豚肉(あるいは豚製品)を消費することへの禁制があります。
まず、世界中で食されている豚製品から、一体どのような有害性があるのかと疑問に思う人も多いかもしれません。あるいは、豚肉には人体に有害な寄生虫や病原菌が含まれているという事実が、それを避けるもっともな理由であると映るかもしれません。しかしながら、ムスリムが豚肉を食べることを禁じられているのはなぜかということを分析すると、上記のことは二次的な理由に過ぎないということが分かります。ムスリムにとっては豚肉を食べないことは、ただ単に神がそれを禁じられたからという理由だけで十分なのです。
“かれがあなたがたに、(食べることを)禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外(の名)で供えられたものである。”(クルアーン2:173)
なぜ神があるものを許可し、他のものを禁じられたのかという理由は、私たちには分からないかもしれません。豚肉の件に関しては、クルアーン6章145節にあるように、神が“それは不浄である”と述べていること以外には理由について言及されません。ムスリムは神の戒律に、その理由を探ろうという必要性を感じることなく、進んで服従します。さらに、信仰者とは神の言葉を聞くと、すぐさま服従するものであると神は明白に述べています。
“本当の信者たちは、裁きのため、アッラーと使徒に呼び出されると、「畏まりました。従います。」と言う。本当に、そのような人々こそ栄える者である。”(クルアーン24:51)
“信仰する男も女も、アッラーとその使徒が、何かを決められた時、勝手に選択すべきではない。アッラーとその使徒に背く者は、明らかに迷って(横道に)逸れた者である。”(クルアーン33:36)
信仰者は、神こそが最も英知に満ち溢れ、最も公正であることを理解しており、神の支配は、それが物理的・感情的・精神的なものであれ、私たちの日々の暮らしにおける必要性を益するためのものなのです。創造主は、その被造物にとって現世における生活と、来世のための準備において何が最善なのかを熟知しています。ムスリムが豚肉を消費することは、生命の危機にあるような緊急の事態以外には、いかなる状況においても許されていません。緊急の差し迫った状況においては、禁じられている物事は許されるようになります。
神は私たちがすべての善き合法なものを享受することをお許しになり、私たちの信仰・健康・幸福・精神にとって有害なものを禁じられます1。従って、ムスリムは禁じられたものを食することにおける危険性を鋭く認識しており、たとえそれが更なる努力や出費を強いたとしても、確固として許された食物の調達を優先するのです。
もしも、ある信仰者が知らないうちに、または誤って豚肉を消費してしまった場合、その人物に罪はありません。神は、知識なく、または意図的でなく、あるいは忘れて犯してしまった過ちに対して、懲罰を与えることはありません。しかし、ある信仰者がその飲食物・医薬品などの中に豚肉や豚製品が入っていることを確信するか、あるいはその嫌疑がある場合、その人物がそれを消費することは許されません。そうした疑いがある場合、成分を調べるか、その詳細を尋ねる努力をしなければなりません2。近年においては成分や製法の情報は難なく入手できます。豚肉または豚製品は少量・多量であるかどうかに関わらず、禁止されます。
イスラーム学者たちは、不浄物(この場合は豚製品)の変質が禁止の解除となるかどうかの問題で見解を相違にします。 The Islamic Organisation for Medical Sciences(イスラーム医学団体)は、ある物質(食品、薬品添加物など)が他の物質に変質した場合、禁止が解除されるという見解を示しています。しかしながら、豚から派生する肉類(ハム・ベーコンなど)を消費することが禁止されているということには疑念の余地がなく、そこに見解の相違もありません。
近年のメキシコ・北アメリカにおける豚インフルエンザの発生に際し、一部諸国は豚を大量殺処分にするという決断を下しましたが、豚が人体に有害な寄生虫を媒介しているということには十分すぎるほどの科学的根拠が存在する上、長年に渡って、豚はインフルエンザが繁殖するための理想的な温床であると見なされてきました。
コメントを付ける