ドナルド・W・フラッド/米国人の元キリスト教徒(3/4)
説明: 「ルーレットの類推」が、いかにこの元ラスベガス市民をムスリムにしたか。第三部:彼による預言者ムハンマド、クルアーン、そしてイスラームの様々な側面の考察。
- より ドナルド・W・フラッド
- 掲載日時 07 Oct 2013
- 編集日時 07 Oct 2013
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諸啓典における預言者ムハンマド
私が学んだもう一つの興味深い点に、聖書による預言者ムハンマド(神の慈悲と祝福あれ)到来の予言があります。聖書には(元来のテキストは歪曲されてはいるものの)、預言者ムハンマドが到来することを予言する明確な記述1が存在していることを私は知りました。イエスによる、彼の後に到来する者の説明(脚注を参考)は、預言者ムハンマド以外の誰一人として当てはまらないことをムスリム学者たちは確証しています。また聖クルアーンの一節も、このことについてイエスが述べたことを確証します。
“イスラエルの子孫たちよ、本当にわたしは、あなたがたに(遣わされた)神の使徒で、わたしより以前に、(下されている)律法を確証し、またわたしの後に来る使徒の吉報を与える。その名前は、アハマドである。”(クルアーン61:6)
アハマドという名前は、預言者ムハンマドの別名でもあり、同じ語根から派生する言葉です。
クルアーンにおける預言者ムハンマド
クルアーンは、以下の節のように、私たちが神と預言者ムハンマドを信じるよう啓蒙します。
“(預言者ムハンマドよ、)言ってやるがいい。「人びとよ、わたしは神の使徒として、あなたがた凡てに遣わされた者である。天と地の大権は、かれのものである。かれの外に神はなく、かれは生を授け死を与える御方である。だから神と御言葉を信奉する、文字を知らない使徒を信頼しかれに従え。そうすればきっとあなたがたは導かれるであろう。」”(クルアーン7:158)
また、クルアーンは預言者ムハンマドを最後の預言者として言及しています。
“ムハンマドは、あなたがた男たちの誰の父親でもない。しかし、神の使徒であり、また預言者たちの封緘である。”(クルアーン33:40)
神はクルアーンにおいて、ムハンマドが最後の使徒であると述べていますが、私はムスリムたちが彼以前のすべての預言者たちと、彼らに下された元来の形での啓示を認め、信じていることを発見しました2。
最終啓示であるクルアーン
神の啓示に対して数々の歪曲がされたことから、イエスの後にもう一人の預言者が現れ、福音の後に新たな啓示が下される必要性が生じたのだと私は理解しました。こうして神は最終啓示(クルアーン)をもってムハンマドを遣わし、全人類を唯一無二なる神への信仰に呼び戻させたのです。ムスリムたちによれば、聖クルアーンはイエスの偉大なる役割に対する合理的な歴史的解明を人類に提供する、究極の典拠かつ永久保存版なのです。クルアーンではイエスの名が25回言及されており、またイエスの母の名にちなんだマルヤム(マリア)章と呼ばれる章も存在します。
この神による啓示が真正であるのかどうかについて、次のクルアーンの節が説得力を持ちます。
“このクルアーンは、神以外のものによって作られるようなものではない。それどころかこれは、それ以前にあったものの確証(の啓示)であり、万有の主からの、疑いの余地を残さない、啓典の解明である。”(クルアーン10:37)
“・・・それは、本当に確固たる不動の真理である。”(クルアーン69:51)
同様に、私はクルアーンの被った改竄についても懸念しました。それはクルアーン以前の啓示において非常に顕著な問題だったからです。しかし、クルアーンは決して改竄されないことが明言されています。
“本当にわれこそは、その訓戒を下し、必ずそれを守護するのである。”(クルアーン15:9)3
私はまた、クルアーンで言及されている科学的現象についても知らされ、それらはクルアーンが神の言葉そのものであるという信用性を与えました。その節の数々には人の胎児の発達過程4、山々5や宇宙の起源6、大脳7、海洋8、深海、内部波9、雲の形成10などについて語られています。近代の高度な科学技術や精密な専門的手順によってしか発見・確証されなかったこれらの事実を、1400年以上も前の人物が知っていたこということはあり得ません。
啓示宗教の本質・頂点であるイスラーム
ムスリムたちは、人間は神を崇拝するという根本的目的によって創造されたのであると信じます。神はクルアーンでこのように述べています。
“ジン(炎から創られた霊的存在の一種)と人間を創ったのはわれに仕えさせるため。”(クルアーン51:56)
これに関連して、西洋における著名なイスラーム学者はこう述べています。「現在、人類に提供されている最も完全な崇拝システムは、イスラームという宗教のシステムであり、『イスラーム』という名前自体、『神の御意への帰依』を意味しているのです。イスラームは通常、三大一神教の三番手として言及されがちですが、イスラームは新宗教では全くありません。それはすべての預言者たちによって説かれてきた宗教であり、アダム、アブラハム、モーゼ、そしてイエスの宗教だったのですから。」11
彼はこう続けます。「神は唯一であり、人類も一つの種であることから、神が人類に定めた宗教も(本質的に)唯一なのです。人の必要とする精神的・社会的要求は単一であり、人間性は最初の男女が創造されたとき以来、変化していません。」12
神の教えは常に同一であったという事実が明らかにされ、私は全人類が真実を探求し、社会や両親の従う宗教に盲目的に従うだけではいけないということを確信しました。クルアーンではこう述べられています。
“かれに仕えないならば、あなたがたとその祖先が命名した、(只の)名称に仕えるに過ぎない。神はそれに対し権能を与えてはいない。”(クルアーン12:40)
フィトラ(外的影響により崩壊させられる以前の、人間に本来備わる、神を崇拝する本能)について、預言者ムハンマドはこう述べています。
“すべての子供達はフィトラ(生粋の人間性)をもって生まれてくるが、両親がユダヤ教やキリスト教、ゾロアスター教などに改宗させてしまうのである。動物は子供を自然のまま産み落とすが、そこに欠陥を見出すか?”(サヒーフ・ブハーリー)
さらに、神はこう述べます。
“それであなたはあなたの顔を純正な教えに、確り向けなさい。神が人間に定められたフィトラ(天性)に基いて。神の創造に、変更がある筈はない。それは正しい教えである。だが人びとの多くは分らない。”(クルアーン30:30)13
さらに、神はイスラーム以外の宗教を承認しないことを、私は次のクルアーンの節によって知りました。
“イスラーム以外の教えを追求する者は、決して受け入れられない。また来世においては、これらの者は失敗者の類である。”(クルアーン3:85)
人は神の導きを拒否し、自分自身の基準に則った生活を確立することも可能ですが、そういった人物は遅かれ早かれ、自らの欲望に翻弄されていたことに気付くだけです。
旅人
私はクルアーンを読み進め、預言者ムハンマドの言行録やスンナ(慣行)を学ぶにつれ、人は現世においては旅人のようなものであり、帰るべき“住処”は永遠なる来世にあるのだとイスラームが見なしていることに気付きました。私たちがここに留まるのはほんの僅かな間だけで、この世界からは神への信仰心と行い以外の何も来世へと持っていくことは出来ません。そのため、人は土地を通り過ぎるだけで、そこに属することのない旅人のようであるべきなのです。私たちは旅人として、生きることとは試練を受けることの意味を理解しなくてはなりません。それゆえ、苦難、喜び、痛みや快楽があるのです。これらの善と悪の試練は、私たちの更なる精神的特質を呼び起こすためのものです。しかし、私たちは最善を尽くし、神を完全に信頼し、忍耐をもって神の定めを甘受しない限り、それらの試練から利益を得ることはないのです。
楽園への道
私にとって楽園について学ぶことは、それが明らかに全人にとっての究極的目標であることから、非常に有意義なことでした。この永久なる住処について、神はこう述べます。
“かれらはその行ったことの報奨として、喜ばしいものが自分のためにひそかに(用意)されているのを知らない。”(クルアーン32:17)
また私は、創造主ご自身を目にするという、想像を絶する歓びについても意識するようになりました。そのような報奨に値する魂とは、どんなものなのでしょうか。この楽園という報奨は、お金では買えないものです。その値段とは真の信仰であり、それは神への従順と預言者ムハンマドのスンナに従うことなのです。
人は誠実さや、楽園へ入るに値する精神性を得るためには、神を崇拝しなければならないこと14を私は理解しました。つまり、崇拝とは人が神に対して行う慈善行為のようなものなどではなく、それは人にとって食事や呼吸のように必要不可欠なものであるという理解です。同様に、神が私たちに何をお望みなのかを知るため、クルアーンを読まなければならないことも学びました。それこそが、楽園への道なのです。
Footnotes:
1 申命記18:18−19,イザヤ29:12,ヨハネ14:12−17,16:5−16,使徒行伝3:22.
2 参照:2:136.
3 クルアーン4:82も参照。
4 参照:クルアーン23:12−14.
5 参照:クルアーン16:15,78:6−7.
6 参照:クルアーン21:30,41:11.
7 参照:クルアーン96:15−16.
8 参照:クルアーン25:53,55:19−20.
9 参照:クルアーン24:40.
10 参照:クルアーン24:43.
11 The Purpose of Creation, Dr. A. A. B. philips, p. 49, Dar Al Fatah, Sharjah, UAE, 1995. クルアーン3:67,3:84も参照。
12 同上 p. 50.
13 2:170,10:19,31:21,43:23,49:6,53:23も参照。
14 参照:クルアーン111−112,10:63−64.
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