元英国外交官チャールズ・ル・ガイ・イートン(6/6)

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説明: 哲学者/作家による真実の探求は、信仰と行為を調和させんがための恒常的な葛藤に悩まされました。第6部:蒔いた種を結実させること。

  • より ガイ・イートン
  • 掲載日時 05 Nov 2012
  • 編集日時 05 Nov 2012
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私には逃げ場が必要でした。土地と恋に落ちる事が出来るというなら、私はジャマイカと恋に落ちましたが、ジャマイカではないという理由だけで、私はエジプトが大嫌いでした。そこには青い山々、熱帯の海、そして西インド諸島の美しい女性たちは見当たりませんでした。私は故郷と感じることの出来た唯一の場所から、なぜ去ってしまったのでしょうか?しかしそれだけではありませんでした。私が残してきたのは土地だけでなく、その人物を抜きにして人生は空虚で生きる意味のない、一人の若い女性でした。そのとき、私は強迫観念という言葉が意味するものを初めて悟りました。それは苦痛を伴うレッスンでしたが、自分自身、そして他人について理解しようとする者にとっては良いレッスンでもありました。それ以前の私の人生には何の価値もありませんでした。現実問題として、それは昼夜を通して私の思考を占め、夢の中まで現れて来る人物への欲求でした。職務時間中、私は学生たちの前で恋愛詩を詠み、涙すると、彼らはこう言ったのです。「英国人に心があるとは。私たちは皆、英国人は氷のように冷たいと思っていたのに。」

これらの学生たちは、5〜6人の上級生グループでしたが、彼らも私にとっての逃げ場でした。私の居たかった場所から8,000マイルも離れていたことを理由にエジプトは嫌いでしたが、この青年たちは心から愛していました。彼らの暖かさ、素直さ、そして彼らが知りたかったことについて私の教えを信用してくれたことは、とても嬉しいことでした。彼らは善きムスリムであったため、私は彼らの信仰も愛すようになりました。もはや私には疑念がありませんでした。もし私が一つの宗教に打ち込み、そこに自らを監禁することが可能なのであれば、それはイスラーム以外に考えられませんでした。ただ、私にはその準備が出来ていませんでした。聖アウグスティヌスの祈りが頭の中をよぎりました。「主よ、私を貞節にしてください。ただし、今ではなく。」海のような広大な余暇を持て余す若者たちは、貞節さ、敬虔さ、またはより良い人生について祈りますが、同じような保留の態度を示すのです。そして彼らの多くは同じ状態で死に臨むのです。

正直に言うと、私は自らの躊躇に打ち勝てなかったかも知れません。将来的にイスラームを受け入れようと意図してはいましたが、決定行為を何年も延期し、年を取っても「まだだ」と言い続けていたのかも知れません。ジャマイカへの愛着心と、あの人物への想いは、月日を重ねても消えるどころかますます大きくなっていきました。ある朝、私は目覚めると、あの島へ戻ることを阻むのは、金銭面だけであると確信したのです。問い合わせると、蒸気船のデッキであれば、70ポンドで旅立つことが出来ることを知りました。大学の学期後までにはその金額を蓄えることが出来ることは分かっていたので、私の人生は再び変化しました。脱出が近いことを確信したので、私は意外にもカイロを楽しむことが出来るようになりました。しかし、一つの問題がはっきりとした答えを要求しており、その答えを遅延することはそれ以上不可能でした。イスラームへ改宗する機会は、次はないかも知れなかったのです。私の正面には開いた扉がありました。もしそこに踏み入れなければ、その扉は永久に閉じるかも知れなかったのです。しかし、私はジャマイカでどのような生活をするか知っていましたし、そうした環境でムスリムとして生きて行く決意が私にあるかどうか分かりませんでした。

私はムスリム同胞だけでなく、大半の人々が驚愕するような決断を下しました。私は、取り敢えずはイスラームを受け入れ、自分の心のなかに「種を撒き」、それがやがては健康な木として育つことに希望を託すという決心をしたのです。私には何も言い訳はありませんし、誰かがそれは不誠実、または虚偽の意図であると言いがかりをつけてきても、その人物を責めることは出来ません。しかしそのような人物は、神にはいつでも人の弱さをお赦しになる準備があること、そして不毛な地から種の芽を出し、それを実らせることの出来る御力があることを見くびっているのではないでしょうか。いずれにせよ、私にはある種の強制力が働いており、私はそれに対応しなければならなかったのです。私はマーティン・リングスの元へ行き、一気に話をぶちまけ、彼に「シャハーダ」の証人、つまり信仰宣言に立ちあって欲しいと頼んだのです。彼は最初は躊躇していましたが、願いを聞いてくれました。恐怖で一杯ではありましたが、ある種の喜びを感じつつ、人生で始めての礼拝をしました。翌日、そのときはラマダーンだったので、私は自分がそうすることなど出来っこないと決め付けていた断食をしました。それから私は上級生の生徒たちに成り行きを知らせ、彼らは暖かい歓迎をしてくれました。それまでも、私たちは親しい仲だと思っていたのですが、実際には私たちの間には障壁があったことに気付いたのです。その障壁はなくなり、私は彼らの真の兄弟として認められたのです。私の密かな旅立ち(学部長には私が去ることを伝えていませんでした)までは6週間が残っており、彼らの一人が毎日、私にクルアーンを教えにやって来ました。私は鏡の中の自分に目を凝らしました。顔は同じでしたが、それはまるで別人が被っているマスクのようでした。私はムスリムになったのです。依然、興奮した状態で私はアレキサンドリアの船に乗り込み、未知の未来へと出航しました。

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