ノアの物語(2/3):ノアの方舟
- より アーイシャ・ステイシー (© 2010 IslamReligion.com)
- 掲載日時 08 Feb 2010
- 編集日時 08 Feb 2010
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ノアによる人々への宣教によって、彼らは二つのグループに分かれました。彼の言葉は弱者、貧者、被抑圧者の心に訴えかけましたが、裕福で影響力のある人々はそれを信じず、それを自分たちの地位や権力に対して都合の悪いものであると考えていました。やがてノアと不信仰者たちの間で議論が始まりました。彼らはノアが単なる人間であり、特別な存在ではないと糾弾し始めたのです。ノアはそういった観点に合意し、自分は単なる人間であるが、明確な訓戒をもたらす者であると言いました。そして神は我々にこう述べられています:
“またわれら(神)はノアを、彼の民に遣わした。(彼は言った。)「私はあなた方への、公明な警告者である。あなた方はアッラーの他に仕えてはならない。私はあなた方のために、苦難の日の懲罰を本当に恐れる。」だが彼の民の中の不信心な首長たちは言った。「あなたを見ても、私たちと同じ人間に過ぎない。また私たちの中でもあなたに従う者は、思慮の未熟な最も卑しい者に過ぎない。またあなたには、私たちに勝る長所も認められない。いや、私たちは、実際あなた方を嘘付きであると見なす。」”(クルアーン 11:25−27)
ノアは反抗的な人々に対して、もし神へと歩み寄り、赦しを請うのであれば彼らは恩恵を授かることを説明しました。神は彼らに雨をもたらし、子息や富、そして至福の庭園、流れる川が授けられるのだと言うことを明らかにしたのです。しかし不信仰者たちは彼の言葉をはねつけ、自分たちの傲慢さと自尊心に満足していました。
争いの激化
ノアに敵対する者たちは、彼の評判を落そうと努力しました。彼らはこれら二つの異なるグループ(素直で貧しい者たちと、裕福で権力を持つ者たち)に関し、同じ信仰のもとで共存することは不可能であると彼に伝えました。ノアは、不信仰者たちによって常に罵倒され、虐げられていたにも関わらず、真摯かつ親切に対応しました。彼は自分の呼びかけに応じた、弱いながらも謙虚な信仰者たちから背を向けることは決して無いことを彼らに説明しました。彼らは神の賓客であることを不信仰者たちに知らせたのです。ノアは人々に訴えかけました。彼は彼らに対して理性的であるよう心がけ、彼らがこの状況において真実を見極めることが出来るよう努めました。個人的な損得感情からではなく、謙虚さの中の力強い心で、ノアは彼らの主張に反論したのです。
“人々よ、私はこれ(伝道)について、あなた方に財貨を求めはしない。私は、ただアッラーから報奨をいただくだけである。また私は、信仰者たちを(侮って)追い返そうとはしない。本当に彼らは主に接見するのである。寧ろあなた方は、無知の民であると私は考える。人々よ、私がもし彼らを追い返したならば、アッラーに対し誰が私を助けるであろう。それでもあなた方は意に介さないのか。私はあなた方に向かって、私がアッラーの宝物を持つとも、不可視の世界を知るとも、また私が天使であるとも言わない。また私はあなた方が軽視する者に向かって、アッラーは彼らに(どんな)善性も御授けにならないだろうと言わない。アッラーは、彼らの心の中を、最もよく御存知である。もしそうであったならば、私は不義の徒である。”(クルアーン 11章29−31節)
意見の相違は不信仰者たちの論点が尽きるまで続きました。彼らはノアと信仰者たちを嘲笑しましたが、ノアは教えを説き続けました。最終的に彼は耐えるのをやめ、心から神へ祈りました。ノアは忍耐出来なくなったのではありません。彼は辛抱強く、親切で礼儀正しい人物でした。しかし、彼は不信仰者が大地に腐敗と不信心を広める以外に何もしないことを確信するようになりました。彼らは信仰者たちを欺き、堕落させ、子孫にまでその不信心の遺産を受け継がせたのです。ノアは神に祈ってこう言いました:
“もしあなたが彼らを残されれば、彼らは必ずあなたに仕える者を迷わせ、また罪を犯す不信心な者の他、生まないでしょう。”(クルアーン 71:27)
神はノアの祈りを受け入れたのです。
方舟
神はノアに方舟を作るよう命じ、洪水によって不信仰者たちへと審判を下しました。
“そしてわれらの目の前で、啓示に従って方舟を造れ。また不義を行う者のために(この上)われに願い出てはならない。彼らは溺れ死ぬであろう。”(クルアーン 11:37)
ノアは町の郊外の、海から遠く離れた場所を方舟を作る場所として選びました。不信仰者たちは嘲り笑い、海や川から離れた船の位置に対して苦言しました。彼らは神の御力と壮大さについて全く理解していなかったため、なぜノアが海から遠く離れた丘の上に船を作ったのかが分からなかったのです。彼らはノアを狂人と呼んで一斉に笑いました。船は徐々に構築されて行き、それが完成すると、ノアは神の指令を辛抱強く待ちました。
“遂にわれらの命令は下って、大地の諸水が堰を切ってほとばしり出た時、われらは言った。「全ての生き物の一つがいと、信仰者たちと、汝の家族で宣告が既に下された者以外をその中に乗せなさい。」だが彼と共に信仰した者は少なかった。”(クルアーン 11章40節)
地上から水が溢れ出し、天から雨が大降りになったとき、神はノアに家族と信仰者を連れて方舟に乗り込むよう指示しました。また、神はノアが全ての動物、鳥類、昆虫の雄雌を一つがいずつ乗せるよう命じました。不信仰者たちは彼を疑いの目で見ながら、それらの動物をどうしようというのか彼に尋ねたのです。
ノアの妻はノアの教えに決して従わなかったため、方舟に加わりませんでした。また彼の長男もそこに加わらず、高山の山頂へ逃げる道をとりました。イスラーム学者たちは方舟に加わった人々の数に関して異なる見解を示していますが、それは多くとも八十名であったとされています。信仰者と動物たちが方舟に入ると地上のあらゆる割れ目から水が溢れ出し、未だかつて無かった程に雨が降り注ぎました。水位は刻一刻と上がって行き、海や川は地上を覆い尽くしたのです。
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